中公新書<br> 小泉信三―天皇の師として、自由主義者として

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小泉信三―天皇の師として、自由主義者として

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  • サイズ 新書判/ページ数 210p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121025159
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C1221

出版社内容情報

戦前、自由主義経済学者、マルクス主義批判の知識人、慶應義塾長として知られた小泉信三(1888?1966)。戦中は好戦的発言を繰り返すなか、空襲で全身火傷を負う。戦後は皇太子教育の全権委任者として、敗戦とともに揺らぐ皇室を支え、美智子妃を迎えるなど象徴天皇制の基盤を作った。本書は、国家主義の台頭、戦争、敗戦という激動のなか、国家のあり方を問い続けながら、オールド・リベラリストの生き方を貫いた小泉の生涯を描く。

小川原正道[オガワラマサミチ]
著・文・その他

内容説明

戦前は自由主義経済学者、マルクス主義批判の知識人、慶應義塾長として知られた小泉信三(1888~1966)。戦中は好戦的発言を繰り返す中、空襲で全身火傷を負う。戦後は皇太子教育の全権委任者として、敗戦で揺らぐ皇室を支え、美智子妃を迎えるなど象徴天皇制の基盤を作った。国家主義の台頭、戦争、敗戦という激動の中、国家のあり方を問い続け、オールド・リベラリストの生き方を貫いた小泉の生涯を描く。

目次

第1章 父と修学時代(父・小泉信吉―福沢諭吉との密な関係;青年期の記憶―公立小から慶應義塾へ ほか)
第2章 論壇の若き経済学者―マルクス主義批判の旗手(ヨーロッパ留学―第一次世界大戦下の英独仏体験;反マルクス主義の展開と論争 ほか)
第3章 戦時下、慶應義塾長の苦悩―国家・戦争の支持(アメリカ旅行―ハーバード大学での体験;戦意高揚の主張、長男の死 ほか)
第4章 皇太子教育の全権委任者―「新しい皇室」像の構築(御進講覚書―「道徳的背骨」という前提;「象徴天皇」以上の追求―『ジョオジ五世伝』『帝室論』の読解 ほか)
第5章 オールド・リベラリストの闘い(講和論争―反共・現実主義者の平和論;六〇年安保改定問題 ほか)

著者等紹介

小川原正道[オガワラマサミチ]
1976(昭和51)年長野県生まれ。1999年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2003年慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程修了。ハーバード大学(米国)客員研究員、マサチューセッツ工科大学(米国)客員研究員などを経て、慶應義塾大学法学部教授。博士(法学)。近代日本政治史・政治思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

38
平成の世も間もなく終わろうとしている。先日、誕生日を迎えられた天皇が所感を述べられていた。「平成」が戦争がない時代であって良かったと。真に同感である。その今上天皇の皇太子時代、教育の任にあたった”オールドリベラリスト”小泉信三の生涯。教授時代はマルクス経済学批判者として論陣を張り、慶應義塾長就任後は大学の発展に尽力するが、一旦戦争になったら勝利のため邁進すべきと学生に戦意高揚を訴える。学生の頃に読んだ「海軍主計大尉小泉信吉」。戦死した子息との書簡を中心とした父親の愛情と深い悲しみが感じられた一冊であった。2018/12/29

trazom

23
小泉信三博士の四つの顔:①皇太子の家庭教師、②学者(マルクスの批判者)、③論壇の寵児(単独講和論)、④慶應義塾長、が紹介される。戦意高揚を唱えた戦争協力者の一面も隠せない。博士は「道徳的背骨(モラル・バックボーン)」の大切さを強調し、「象徴天皇以上のもの」を天皇に求めたとあるが、国民に寄り添うご姿勢は、正にその教えだったのだと気付く。戦後、小泉博士は聖公会で受洗。小泉博士、クェーカー教徒のヴァイニング夫人、聖心女子大卒の美智子様から影響された現上皇の「道徳的背骨」は、キリスト教によるものだったのだろうか。2019/05/08

軍縮地球市民shinshin

13
オールドリベラリストの経済学者小泉信三の評伝。200頁に達しない量の本だが、小泉の生涯の概要がよく分かる好著。天皇陛下の東宮時代の教育係だった人物で、英国王ジョージ5世の伝記を英語で皇太子と一緒に読んだというエピソードは良かった。立憲君主としての帝王教育を皇太子は受けたわけだ。現代では小泉のような学者はいなくなり、真のリベラリストがいなくなり、山口なんとかのようなエセ学者が多くなっているのは遺憾だ。日本だとリベラリストが左翼になっているのはおかしい。2019/02/26

もえたく

12
小泉信三氏は、小泉純一郎氏らの縁者ではなく、慶応義塾で創立者の福沢諭吉に次ぐ知名度を誇り、現在の天皇の家庭教師として帝王教育を施した人とのこと。恥ずかしながら、あまり知らず、偉人伝を読む感じで読了。2018/11/30

sasha

8
今上天皇の皇太子時代の東宮御教育常時参与、慶応義塾長。私が小泉信三氏について知っていたのは経歴のほんの一部。象徴天皇として在り方を模索し続けた今上天皇の家庭教師ような人物には大変興味を惹かれるのだが、いかんせん200ページ足らずの評伝なのでかなり駆け足的で食い足りなさが残る。福沢諭吉や吉田茂との関係などは面白かったけどね。平成もあと少し。現在の今上天皇の姿は、小泉氏が理想としたものであったのか聞いてみたいが、即位さえも見届けずに亡くなっているので無理だわ。2019/03/03

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