出版社内容情報
平凡な日常が、かけがえのない記憶となって残る。俳人にして単身赴任中のサラリーマンでもある著者が、「俳句と暮らす」生活を提案。
内容説明
花鳥風月を詠む優雅な趣味の世界―。これが俳句のイメージだろう。だが、日々の小さな発見を折に触れ書き留められるところにこそ、俳句本来の魅力がある。本書では、俳人にして単身赴任中のサラリーマンでもある著者が、「飯を作る」「会社で働く」「妻に会う」「病気で死ぬ」などさまざまな場面を切り取りつつ、俳句とともに暮らす生活を提案。平凡な日常をかけがえのない記憶として残すための俳句入門。
目次
1 飯を作る
2 会社で働く
3 妻に会う
4 散歩をする
5 酒を飲む
6 病気で死ぬ
7 芭蕉も暮らす
著者等紹介
小川軽舟[オガワケイシュウ]
1961年(昭和36年)、千葉市に生まれる。東京大学法学部卒業。俳句雑誌「鷹」にて藤田湘子に師事。1999年「鷹」編集長、2005年湘子逝去にともない「鷹」主宰を引き継ぐ。毎日新聞俳壇選者、毎日俳句大賞選者、田中裕明賞選考委員。句集に『近所』(第25回俳人協会新人賞)、著者に『魅了する詩型 現代俳句私論』(第19回俳人協会評論新人賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かごむし
23
50代サラリーマン俳人の書いた俳句エッセイ。俳人のみずみずしい感性を読めるのはもちろんだが、俳句の歴史、背景など、単なる思いつきではなく、俳句がよくわかる一冊となっている。また最後に置かれた、松尾芭蕉の一生について書かれた章は、同業者ならではの視点で面白かった。俳句は、一人でこもって作るものではなく、人に聞かせてその反応を楽しむものだそうである。この本を開くまでは、俳句なんて短かすぎるし、季語とか窮屈だから、自分は絶対やらないと思っていたけど、近くで句会があることを知り、行ってみようかと思うまでになった。2017/09/13
とよぽん
14
生活と芸術の重なりの、バランスの良い俳人だと思った。会社勤めをしながら30年余り俳句を作り続けている筆者の、日常の生活そのものが俳句の芸術世界に溶け込んでつながっているのだ。憧れる。私は30年余り教員をしているが、先輩の影響で俳句に親しむようになって十数年、投句などしてきた。しかし、仕事や雑事に紛れてここ数年は句作に向かえずにいる。小川軽舟さんの活躍に注目していきたい。2017/02/26
nemunomori
11
俳句の魅力は「日々の生活とともにあって、それを大切な思い出に変えてくれるもの」という軽舟さんが紹介する素敵な俳句の数々。普通に御飯を作ったり通勤したりお酒を飲んだりする、ありふれた日々の中でも俳句は生まれるのですね。俳句とは「思い出を共有できる仕組み」という言葉に、なるほどと思いました。病に倒れた折笠美秋が献身的な妻へおくった「ひかり野へ君なら蝶に乗れるだろう」の句が忘れられません。2018/11/21
双海(ふたみ)
10
私も俳句とともに暮らしてみたい・・・!2020/02/09
袖崎いたる
10
夏目漱石を読むための俳句のお勉強のさわりとして読む。どうやら俳句は〈自己投入のための容器〉と〈生活実感の記録としてのメディア〉との捉え方ができるようで、俳句が優れてるのはその形式上の短さとのこと。その意味でうまく書けた句が、書いた当時の情景をすっと引き出させるのも我が身に思い当たる。ライクロフトよろしく生活圏を散歩する享楽へのアジテートといった所か。ところで、著者が「この本の読者は、中公新書のイメージからして既婚男性が多いのではないかと思う」(p63)とか書いてるけど、中公新書ってそういうイメージなのか?2017/02/05
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