出版社内容情報
新大陸から伝わった当初、「犬が食べると死ぬ」「大毒である」と言われた魔の香辛料が世界中に普及し、パプリカや京野菜になるまで。
内容説明
比類ない辛さが魅力のトウガラシ。原産地の中南米からヨーロッパに伝わった当初は「食べると死ぬ」とまで言われた。だが、わずか五百年のうちに全世界の人々を魅了するに至った。ピーマンやパプリカもトウガラシから生まれた。アンデスの多様な野生トウガラシ、インドのカレー、四川の豆板醤、朝鮮半島のキムチ、日本の京野菜…。各地を訪ね、世界中に「食卓革命」を起こした香辛料の伝播の歴史と食文化を紹介する。
目次
第1章 トウガラシの「発見」
第2章 野生種から栽培種へ―中南米
第3章 コショウからトウガラシへ―ヨーロッパ
第4章 奴隷制が変えた食文化―アフリカ
第5章 トウガラシのない料理なんて―東南アジア・南アジア
第6章 トウガラシの「ホット・スポット」―中国
第7章 「トウガラシ革命」―韓国
第8章 七味から激辛へ―日本
終章 トウガラシの魅力―むすびにかえて
著者等紹介
山本紀夫[ヤマモトノリオ]
1943年、大阪市生まれ。京都大学農学部農林生物学科卒業、同大学院博士課程修了。国立民族学博物館教授を経て、同館名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授、農学博士(京都大学)、学術博士(東京大学)。専攻・民族学、民族植物学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Aya Murakami
72
県立図書館本。 イネや麦が脱粒性を失って栽培作物になったというのは有名ですが、トウガラシも同じく…だったのですね。そして実も小さかったと。そして興味深いのはそんな野生種に近いトウガラシが好まれて栽培されているとか。理由は一般のトウガラシにない風味があるから。なんとなく今はやりの野食・野草ブームに通じるものがあります。 考えてみればパプリカもトウガラシの一種ですね。カタリンカリコ氏の伝記でも書かれていたビタミンcの抽出の話も載っていましたが、それより初耳だったのが辛いパプリカの存在。品種改良されたらしいです2024/10/20
ホークス
53
2016年刊。アメリカ大陸から16世紀以降広まった作物のうち、ジャガイモとトウモロコシは主食になった。対してトウガラシは香辛料として生活を豊かにした。インドなど南アジア、東南アジア、東アジア、アフリカ、欧州の一定地域では、食文化の中心となっている。元々胡椒の辛味を好んでいた、寒冷地だから体を暖めたい、などの理由もあるが、多くの地域は「味の枠組み」としており、日本の醤油に当るだろう。本書には様々な国の料理、植物学の話が載っていて楽しい。私は最近、ミルで挽く山椒にハマった。香辛料にもっと親しんでいきたい。2023/02/08
Gotoran
52
ページを捲ると、目に鮮やかで口が熱くなりそうな幾らかの写真、真っ赤で、いかにも辛そうなトウガラシ。ヨーロッパに伝わった当初、“犬が食べると死ぬ””大毒である”とまで言われたと云うトウガラシ。コロンブスがカリブ海の西インド諸島からヨーロッパに持ち帰ってから世界中に広まり。今やさまざまな様式で食されている。原産地の中南米からヨーロッパを経由して日本まで。世界中に食事革命を起こした香辛料の伝播の歴史と食文化が紹介される。大変興味深く読むことができた。2018/11/26
syaori
39
コロンブスの新大陸発見とともに世界に「発見」されたトウガラシ。いまやトウガラシのない韓国料理もイタリアンもインド料理も考えられないというくらい世界中で使われ、身近な食材となっているトウガラシは、いかにして世界に広がり、受容されていったのか。トウガラシの歴史から始まり、コショウにかわる新たな香辛料として、また観賞用として世界に広がっていったことがとてもよく分かります。やはりコショウと違い温帯でも栽培できるところが強みだったんでしょうか。朝鮮戦争の特需の恩恵をトウガラシも受けていたという話が面白かったです。2016/12/19
Yuuki.
28
第一章のトウガラシの種類などについての話は、ややこしくて読むのに時間がかかってしまったけれど、第2章以降のトウガラシが各国へ伝わっていった経緯や各国でのトウガラシの使われ方の話は面白かった。意外な経路をたどって伝来した国があったり、イメージほど誰も彼もがトウガラシを摂取しているわけじゃない国があったり。エチオピアのインジェラとワット、かつてよく行っていたけれど閉店してしまったエチオピア料理店を思い出させて、また食べたくなった…。これに出てくる私にとっては未知の外国料理も食べてみたい。2020/01/09
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