中公新書
テロルと映画―スペクタクルとしての暴力

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  • サイズ 新書判/ページ数 201p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121023254
  • NDC分類 778
  • Cコード C1274

出版社内容情報

ルイス・ブニュエルや若松孝二ら優れた映画監督は、テロリスムといかに向き合ったのか?多くの作品を通して芸術の役割を問い直す。

内容説明

2001年のアメリカ同時多発テロ事件後、ハリウッドをはじめ世界各国で、テロリスムを主題とする映画が数多く製作されている。現在にいたるまでの半世紀、映画は凄惨な暴力をいかに描いてきたのか?本書は、テクノロジーの発展やテロリストの内面など、多様な観点からブニュエルや若松孝二、ファスビンダーらの作品を論じ、テロリスムと映画の関係性をとらえ直す。それは、芸術の社会的な意味を探る試みでもある。

目次

第1章 暴力のスペクタクル―メディアのなかのテロル
第2章 他者の脅威―勧善懲悪を超えて
第3章 テロリストの内面―自己顕示欲と実存
第4章 ブニュエルの悲嘆―爆弾の遍在
第5章 若松孝二の怒り―少年の孤独
第6章 ファスビンダーの嘲笑―管理社会における不毛な演技
第7章 ベロッキオと夢の論理―歴史と想像的なるもの
終章 哀悼的想起としての映画―テロルの廃絶に向けて

著者等紹介

四方田犬彦[ヨモタイヌヒコ]
1953年、大阪府生まれ。東京大学で宗教学を、同大学院で比較文化・比較文学を学ぶ。明治学院大学で長く教鞭を執り、コロンビア大学、ボローニャ大学、テルアヴィヴ大学、清華大学などで客員教授・研究員を務めた。現在は文筆業に専念。映画、文学、料理、漫画、音楽といった幅広い文化現象をめぐり、批評の健筆を振るう。またサイード、パゾリーニ、ダルウィーシュの翻訳がある。著書『映画史への招待』(岩波書店、1998年、サントリー学芸賞受賞)『モロッコ流謫』(新潮社、2000年、ちくま文庫、2014年、伊藤整文学賞受賞)『ルイス・ブニュエル』(作品社、2013年、芸術選奨文部科学大臣賞受賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

341
9.11以降のテロル史とそれに関わる映画の考察、そしてテロルの思想史といった内容。映画に対する深い共感性を持ちつつ、個々の映画が持つ意味を明らかにしてゆく。論考の切れ味はきわめて鋭利であり、説得力も絶大。この人には全く太刀打ちできないとの思いに打ちのめされそうになるほどである。例えば『ダイ・ハード』にエニソン・シナーロ(インドネシア)の『天国への長い道』を対置させることで、相互の作品と思想の構造が相対化されて見事に浮かび上がってくる。アサイヤスの『カルロス』とアサドの『パラダイス・ナウ』における⇒2022/11/23

HANA

50
テロルを描いた映画を論じた一冊。不勉強なもので正直ここで紹介されている映画で見ているのは『ダイ・ハード』くらいなのであるが、それでも如何に映画がテロと向き合ってきたのかは良く感じられる。ただテロを描いた娯楽としての映画をバッサリ切って捨てているものはどうかと感じられる。その果てにあるのが現在の純文学の惨状みたいな気もするが。あとここで紹介されている映画のほとんどは60~70年代の新左翼のテロが扱われている点も特徴的。冒頭で触れられている通り、やはり映画界も9・11の衝撃を未だ乗り越えられていないのかなあ。2015/09/11

fseigojp

22
若松の連合赤軍リンチ事件の映画は圧巻でした2016/02/22

くさてる

16
テロリズムを主題とした映画を取り上げ、両者の関係性をとらえ直す解説本。取り上げられている映画のほとんどは未見でしたが、興味深く読みました。実際の個別の事件を批判するのではなく、映画という媒体がテロをどう解釈し表現してきたか、その過程で見えてくるものがある気がします。実際の映画を見ないとその実際は分からないのでしょうが、そこに向かう第一歩の道しるべのような本でした。面白かったです。2021/07/07

アポトキシン

13
まず一言、難しかったです。この本の中で頻出する「スペクタクル」という言葉の意味が、辞書などを色々引いて調べたのですが、あまりよく分かりませんでした。「テロリスムはスペクタクルの形態を取る」らしいのですが、スペクタクルは見世物という意味らしいので、テロリストが起こすテロは見世物なのか?と疑問に思いました。テロリストは政治的宗教的な理念の元、無辜の人々を殺すことで政治家や異教徒に対しアピールしているのかなと思いました。2019/08/25

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