内容説明
5世紀以降、ケルト人を駆逐しアングロ・サクソン人が定住したブリテン島。11世紀、大陸のノルマン人が征服するが、常にフランス領土を求め戦争を繰り返した。その間、島内では諸侯が伸張。13世紀にはマグナ・カルタを王が認め、議会の原型が成立する。その後も百年戦争の敗北、教皇からの破門と、王の権威低下が続いた。上巻は、大陸に固執する王たちを中心に、16世紀半ばイングランドにエリザベス1世が君臨するまでを描く。
目次
第1章 古代のブリテン島―先史時代~11世紀
第2章 ノルマン王朝のイングランド―11~12世紀
第3章 アンジュー帝国の光と影―消えないフランスへの野心
第4章 イングランド議会政治の確立―13~14世紀
第5章 百年戦争からバラ戦争へ―フランスと王位をめぐって
第6章 テューダー王朝と近代の夜明け―国家疲弊下の宗教対立
著者等紹介
君塚直隆[キミズカナオタカ]
1967年東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒業。英国オックスフォード大学セント・アントニーズ・コレッジ留学。上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程修了。博士(史学)。東京大学客員助教授、神奈川県立外語短期大学教授などを経て、関東学院大学国際文化学部教授。専攻はイギリス政治外交史、ヨーロッパ国際政治史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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skunk_c
48
定評のあるシリーズの英国版で、『ヨーロッパ近代史』の著者の手になれば、登場人物が生き生きと動き出す。王朝が何度も転変するこの国のため、権力者の数が多く、それを繋いでいくだけで紙面の多くが費やされるが、その人物を的確に描いているため飽きずに読めた。それから一番の興味がイギリス議会がどのように成立していくかだったのだが、本書はそれにも上手く応えている。王権が盤石でないため、当初は貴族や教会、その後も有力者の協力を得るため議会が使われる。そしてヘンリ8世のイギリス国教会設立が、議会から聖職者を締め出していく。2019/06/11
ころこ
45
ちょうど真ん中あたりでマグナ・カルタが登場して、ようやく見慣れた言葉が出てきたわと思ったくらい全く覚えていないイギリス史です。よく歴史は流れだといいますが、流れだけ先に知っても仕方がないはずで、まず知っていることが大事なのは固有名の方じゃないかと思います。固有名が見慣れて、その上で歴史上の固有名の意味を考えると、現在の価値による位置づけなされる。そうすると、その固有名の重要さが再確認される。前近代ですが議会の開設が早いことに驚きます。2021/07/05
姉勤
29
新書であることを差っ引いても、「物語」としてはあまりに旨味も深みもなく、イングランド(アングロ人の土地)の支配層(王族、教会)を中心に、古代から15世紀ごろまでを粛々と。征服、統治、破綻を繰り返し、フランスの異母兄弟のような中世を越えて、いわゆるイギリスのアイデンティティが確立するのは15世紀。それまでは、ことばは悪いが「とるにたらぬ国」な印象。そんな国が、世界をかき回す「第一国」になるかは下巻に。 読後の感想は、イングランド人は王や教会を信用していない。ゆえに議会とコモンセンスを尊ぶのだろう。2016/07/27
南北
27
イギリスの歴史を「王権と議会」という切り口でまとめた本です。上巻ではブリテン島がかつて「アルビオン(白い島)」と呼ばれていた時代からエリザベス1世までの歴史が語られています。イギリスでは後継ぎに恵まれないことも多かったため、(無視する王様もかなりいましたが)どうしても議会の意見を無視することができず、議会が発展してきたようです。余談ですが、アニメ「プリンセス・プリンシパル」で出てくる「アルビオン王国」の元ネタ(ブリテン島南東部の白亜層)を知ることができたのは予想外の収穫でした。2017/10/16
fseigojp
26
ゲームオブスローンズというDVDシリーズにはまっており、基礎勉強に最適であった 下巻は苦手な近代英文学の克服のために2016/01/02