内容説明
百科事典を丸ごと暗記、二十以上の言語を解した、キューバ独立戦争参戦といった虚実さまざまな伝説に彩られ、民俗学、生物学などに幅広く業績を残した南方熊楠。「てんぎゃん(天狗さん)」とあだ名された少年時代、大英博物館に通いつめた海外放浪期。神社合祀反対運動にかかわり、在野の粘菌研究者として昭和天皇に進講した晩年まで。「日本人の可能性の極限」を歩んだ生涯をたどり、その思想を解き明かす。
目次
第1章 驚異的な記憶力を持った神童―和歌山・東京時代(「てんぎゃん」というあだ名を付けられて;好きな教科、嫌いな教科;「深友」羽山兄弟)
第2章 アメリカ時代(渡米の背景と目的;大学中退と独学への助走;ピストル一挺を持って突然のキューバ採集旅行)
第3章 大英博物館の日々―ロンドン時代(学問のメッカ、ロンドンへ;『ネイチャー』投稿と大英博物館;土宜法龍と「事の学」)
第4章 無念の帰国と思想の深化―那智隠栖期(失意の帰国;オカルティズム研究へ;「南方曼陀羅」;「やりあて」―偶然の域を超えた発見や発明・的中)
第5章 那智山を下りる熊楠―田辺時代1(神社合祀反対運動;粘菌という中間生物)
第6章 蓄えてきた知を爆発させて―田辺時代2(柳田國男との出会いと別れ;家族と日々の暮らし;晩年の夢―夢日記)
著者等紹介
唐澤太輔[カラサワタイスケ]
1978年(昭和53年)、神戸市に生まれる。2002年、慶應義塾大学文学部卒業。2012年、早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。早稲田大学社会科学総合学術院助教などを経て、現在、同大学国際言語文化研究所招聘研究員。2009年、論文「ひらめきと創造的活動のプロセス―南方熊楠の「やりあて」に関する考察を中心に」で涙骨賞、小野梓記念学術賞受賞。専攻、哲学、生命倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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