内容説明
怨霊とは死後に落ち着くところのない霊魂である。古来、日本では怨霊が憑依することによって、個人的な祟りにとどまらず、疫病や天変地異など社会に甚大な被害がもたらされると信じられてきた。三大怨霊と称される菅原道真、平将門、崇徳院は死後、いかに人々を恐怖に陥れたのか。そして、どのように鎮魂がなされたのか。霊魂の存在から説き起こし、怨霊の誕生とその終焉、さらに近代の霊魂文化まで概観する。
目次
第1章 霊魂とは何か
第2章 怨霊の誕生
第3章 善神へ転化した菅原道真
第4章 関東で猛威をふるう平将門
第5章 日本史上最大の怨霊・崇徳院
第6章 怨霊から霊魂文化へ
著者等紹介
山田雄司[ヤマダユウジ]
1967年静岡県生まれ。91年京都大学文学部史学科卒業。亀岡市史編さん室を経て、98年筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科史学専攻(日本文化研究学際カリキュラム)修了。博士(学術)。2011年より三重大学人文学部教授。日本古代・中世信仰史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
46
日本史の中に息づく怨霊、中でメジャーな存在である菅原道真、平将門、崇徳院を選び、如何に怨霊化していくかの変遷を辿った一冊。以前『崇徳院怨霊の研究』を読んだことがあるが、今回はダイジェスト版といった趣。あくまで如何に怨霊になったか、に主眼が置かれている為、怨霊の概念自体の説明は控えめである。気になったのが三者が三者とも平安時代の政治的敗者である事。後鳥羽上皇の怨念が作中で触れられていながらも、今日人口に膾炙していないのに何か繋りがありそう。慰霊と怨親平等に関しては、話を広げすぎかなと思ったが面白かった。2014/11/03
佐島楓
39
道真、将門、崇徳院をメインに、日本古来からの怨霊について考察したもの。といっても、古代以降の文献が主になっており、もう少し「読ませる」つくりにしてほしかった・・・というのは欲が深すぎるか。日本人の心のありようについて考えさせられるきっかけとなった。2014/12/20
saga
33
副題のうちの前二者は怨霊の認識があったが、崇徳院を怨霊というイメージは無かった。『「超常現象」を本気で科学する』読了後に本書を手にとったのは、その所見を基に本書を読んだら面白かろうという意図による。道真と将門は生年が重なる部分があり、道真の怨霊による災異を知っていたのではないかと思うと興味深い。古代皇族の権力争いから悲運の天皇となった崇徳院は、祟り神にさせられた感がある。『本気で科学する』に書かれたユング提唱のシンクロニシティ=意味ある偶然の一致が、怨霊による怪異を理解するうえで参考になるのではないか。2014/10/02
Koichiro Minematsu
27
怨霊とは死後に落ち着くところのない霊魂。崇徳院の怨霊は、天皇の政治(朝廷)からの武士の政治(幕府)に天変し、鎌倉時代以降常に日本は怨霊を意識する時代となった。石碑や塔、神社に祀られている神や魂にも目を向けたい。2019/03/16
yamahiko
26
怨霊思想が形成される時代背景の概要が述べられており読物としては面白く読めましたが、総花的でやはり少し肩透かしの内容でした。2017/08/10
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