出版社内容情報
なぜ信長だけが伝統権威を乗り越え、天下統一へ突き進めたのか。信長と秀吉による改革の本質を見つめ、戦国の「常識」をくつがえす。
内容説明
織田信長の上洛から二〇年、豊臣秀吉により天下は統一された。集権化や実力主義を推進した信長と秀吉の政策はまさに「革命」であり、他の戦国武将と一線を画していたのである。本書はさらに、足利と織田、そして織田と豊臣の各政権が併存したことを指摘しつつ、軍事革命にともなうスペイン・ポルトガルの東アジア進出といった世界史的視野からも戦国日本を捉え直す。旧来のイメージを大胆に覆し、「革命」の本質に迫る。
目次
天下統一を問い直す
第1部 織田信長の天下(室町幕府の復興;二重政権―鞆幕府と安土幕府;黎明期の革命)
第2部 豊臣秀吉の仕置(天下分け目の戦い―小牧・長久手合戦;西国平定戦と集権国家;東国・奥羽平定戦と天下統一)
天下統一がもたらしたもの
著者等紹介
藤田達生[フジタタツオ]
1958年(昭和33年)、愛媛県に生まれる。1987年、神戸大学大学院博士課程修了、学術博士。同年、神戸大学大学院助手。1993年、三重大学教育学部助教授。2003年、同教授。専攻は日本近世国家成立史の研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Porco
15
信長は本当はどこが革命的だったのか。室町幕府の終わりから豊臣政権の確立までの推移は、どう捉えるべきか。私の持っていた知識はことごとく覆されました。2022/12/27
Tomoichi
15
漫画とは言え歴史フィクションを続けて読んでいると、まともな研究が知りたくて購入。結論としては信長と秀吉は天才ってこと(笑)家康?だれ? 信長の勢力拡大と足利幕府の終焉についてこれも一つの学説かもしれないが論理的で納得のいくものでした。著者の他の本も読もうかな。日本史update続く。2021/12/28
skunk_c
9
最近この時代について学びながら感じていた、足利義昭から織田信長に政権が移行した時期のことや、本能寺の変から羽柴秀吉が実権を握るまでの時期について、かなり説得力のある説明だ。特に義昭下向後も将軍としての役割を果たしており、二重政権だったとする説明は腑に落ちた。一方信長については、従来の天下への野心が強かったという説に近く、このあたりをどう捉えるかは考えどころ。信長、秀吉が預治思想により、大名を「鉢植」のように能力に応じて地方に配置する制度を確立(完成は徳川家康か)したあたりに革命をみるという説は面白かった。2015/09/22
ZEPPELIN
8
足利義昭に拘りすぎていて、序盤から胃液が出てくる。京に進出した信長と、京から追放された義昭。最高の権威である帝が京にいる以上、国の中央は京であり、西国に飛ばされた義昭が信長と同等の存在であったとは到底思えない。また、自説を強調するための論文や研究の取捨選択も都合良すぎで、「自分の見解は面白い!他人は古い!」という自己主張も強く、かなり鼻に付く。現在ならともかく、この時代に対する研究が京近辺に集中するのは当たり前ではないか。典型的なタイトル負けの本2014/07/21
Kamabonz
7
信長が足利義昭を奉じて上洛したのは、どういうことだったのか 秀吉が織田信雄を担いでいたのは、なんだったのか など、歴史的な事実に対して、その解釈を突き詰めて考えたのが本書と言えるでしょうか。 信長が終わりを統一する前から兵農分離を進めていたのは知っていましたが、当初の目的は戦争の遂行と思いますが、結果的に在地国人や大名の領地との分離も進むといった二次的な効果があり、信長・秀吉の両方が「これイケんじゃね」と思ったのかもしれませんね。 当時の中世的な感覚からしたら「革命」が起こったと思ったでしょうね。2015/09/06