出版社内容情報
写真誌の創刊ラッシュ、ヌード写真集が一世風靡するなか、90年代デジタル化の波を受けた写真は…。2013年までの40年を描く。
内容説明
1970年代半ば、消費社会が爛熟するなか『an・an』を筆頭にヴィジュアル雑誌が次々と創刊。新しい写真家たちが陸続と登場する。さらに『写楽』『写真時代』『FOCUS』の売り上げ拡大によって、写真は黄金時代を迎え、宮沢りえのヌード写真集は社会現象ともなった。他方で、90年代半ば以降のデジタル写真の普及は、150年に及ぶ写真史を一新する。本書は1975年以降の写真黄金期とデジタルの衝撃の歴史を描く。
目次
第4章 消費社会のイメージ―1975~89年(ヴィジュアル雑誌の時代;スキャンダリズム;写真美術館の誕生―記憶・規制)
第5章 表現の多様化と再発見―1990~2010年代(縮小する世界のなかで;女性と写真―変わり続ける関係;デジタル化の波―都市・郊外からネットへ)
終章 日本写真のグローバル評価(「日本」の写真という問いかけ;3・11を超えて―再び写真と現実との関係)
著者等紹介
鳥原学[トリハラマナブ]
1965年大阪府生まれ。近畿大学商学部卒。93年から写真弘社、写真ギャラリー「アート・グラフ」運営担当。2000年からフリーに。現在、写真評論家。日本写真芸術専門学校講師、東京ビジュアルアーツ講師も兼任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
73
1970年〜2012年迄の日本の写真史で今でも聞く名前が載っている。紹介されている写真家について大雑把にその時代の中で、どんなアプローチでどんなことをした人かと言うのが分かる。2022/11/29
ふろんた2.0
19
写真の大衆化、女性写真家の登場。ただ、デジタル化が進んだ現代においては多様化が進み、カメラとは写真とは何なのかと説明しづらくもなってきている。2015/05/25
ハチアカデミー
12
後半は主に、写真が芸術化、広告化、大衆化とそれぞれに分化していく過程と、それぞれの問題などを含めた通史となっている。被写体の変化や、表現の変遷、カメラ技術の進化とともに、ウディ・アレン「おいしい生活」ポスターのインパクトや、なぜビートたけしはフライデーを襲撃したのか、宮沢りえ『Santa Fe』は社会現象となったのか、など、社会と密接につながっていく写真の歴史がまとめられている。参考文献と、年表など巻末の資料が充実しているのもありがたい。個人的には、自然雑誌『アニマ』の存在が気になる。2015/08/13
くまこ
7
「写真で見る日本史という要素も含んでいるけど、基本的には写真の歴史に関する教科書ね」「資料を速読するとてもいいトレーニングになったわ。社会風俗の変遷を追う上で写真は大切だし、写真家の名前をチェックできてよかった。林忠彦さんの太宰治の写真は昔から好きなの」「この本をきっかけに個々の写真家を追ってもいいし、歴史の勉強に活用してもいいし、いろいろ使えそうだね」2014/02/20
かりん
4
4:《ジャーナリズム、スキャンダル、アート…そして、写真はどこへ行く。》日頃絶対にやらないのだけど、下巻だけ買った。上巻から読むと挫折しそうだったので…。1975年から2013年までの日本における写真の変化を追っていく。写真雑誌、写真美術館など器の変化もあれば、「写真を撮る」という行為自体が簡単になっていく中で、その意義自体も見直されていく。おいしい生活やサンタフェなどもしっかり網羅。たぶんざざっとしたまとめなんだろうと思うが、詳しくないのでタメになった。最後に紹介されているのは、大好きな志賀理江子さん。2015/07/25