出版社内容情報
『サロメ』『ドリアン・グレイの画像』など多くの著作と警句で知られ、絶賛とスキャンダルに彩られた「世紀末芸術の旗手」の生涯
内容説明
『サロメ』『幸福な王子』『ドリアン・グレイの画像』など多くの著作と数々の警句で知られる「世紀末芸術の旗手」オスカー・ワイルド。アイルランドに生まれ、オックスフォード大学在学中から頭角を現した青年期に始まり、同性愛裁判に敗北し、保守的なイギリス社会から追放される晩年まで。「私は人生にこそ精魂をつぎ込んだが、作品には才能しか注がなかった」―どの作品よりも起伏と魅力に富んだ彼の生涯をたどる。
目次
第1章 「オスカー・ワイルド」になるまで
第2章 オスカー・ワイルド、世に出る
第3章 犯罪者にして芸術家
第4章 絶頂期の禁断の恋
第5章 世紀末を賑わせた裁判
第6章 深き淵にて
第7章 墓場からの帰還
終章 新生
著者等紹介
宮崎かすみ[ミヤザキカスミ]
1961年(昭和36年)、北海道に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退。横浜国立大学准教授などを経て、和光大学表現学部総合文化学科教授。専攻、英文学・思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
絹恵
37
彼は芸術家としてではなく、愛に生きる者としての矜持を持って言葉を紡いでいました。奔放なようでいて、芯のある言葉を残したり、はぐらかすように哲学的な言葉を吐いたり、腹に一物ある人で、およそ常識などというものは持ち合わせてはいなかったけれど、持たないことが彼らしさ/人間性でした。だからこそ彼は憎みきれない最強の人たらしだったのだと思います。それが彼の物語に心惹かれる理由なのかもしれません。2014/09/24
二戸・カルピンチョ
21
この既視感はカポーティ…、いやワイルドが先なんだけども。ともかく、ワイルドがやったことや、やりたかったことに対して「君の気持ちはよくわかるよ」と言いたい。それにしても男性同士の性交は死刑なのに、見て見ぬ振りって何ていう時代なんだろう。といっても現代の私だってまだま正しく理解するのが難しくて、でも理解する気がゼロの人に説明できる位勉強したい。理解する気が無い人は聞く耳を持たないのけどね。彼は犯罪者と言えるのかしら。時代と戦ったのじゃないかしら。評伝としてはかなりあっさりしています。2022/02/12
ハルバル
12
ワイルドの生い立ちから同性愛裁判、パリで客死するまでの伝記。自己演出に長け、機知に富み、才気煥発。反面、二枚舌で不誠実、同情を餌にするたかり屋。全く共感も好感も抱けない人物だが、偉大な芸術家を気取ろうとしながら人間的な弱さを隠せない矛盾した人格には興味を引かれる部分もあった。運命の恋人ダグラスとの痴話喧嘩と腐れ縁には苦笑い。ある意味で似た者同士だったからこそ離れ難かったのだろうか。作品よりも先に社交界で有名になったとか、裁判は名誉毀損として自分から起こしたというのは驚き。とにかく複雑で興味が尽きない人物。2019/10/17
M
10
19世紀後半のイギリスはオスカー・ワイルドだけでなく、他の芸術家ではエヴァレット・ミレイなどラファエル前派を含め、惹かれる時代の1つであり、その背景の詳細については今後も勉強にしていくつもりだが、この1870年代には理想化された古代ギリシャ熱は冷めつつあり、文化的な卓越性を標榜するルネサンスが支持を集め、逸脱した個人主義の裏に潜む人間の罪や悪徳、暴力の解放に自己投影を求めていたのではないかと考察する。『ドリアン・グレイの肖像』を学部2年の頃に読んだ時の形容しがたい感情は正にその側面を反映していたといえる。2020/11/03
へこきむし
10
イギリスにおいて、成人同士で行われる私的な同性愛行為が犯罪でなくなったのは、1967年。わずか40数年前のこと。ワイルドが生きた時代のゲイたちは「命懸けで男を愛したのだ」と思ったら、嫉妬と裏切り、自己保身ばかり。。。現代とちっとも変わらんな。 ダグラスという魔性の少年とワイルド。二人の言い分のどちらが正しいかはどうでもいいけど「幸福な王子」を書いた者がこんなにスキャンダラスな人物とは思いませんでしたよ。だって、子供の頃に絵本を読んで泣いたんだぜ。2014/03/21
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