内容説明
居酒屋に人一倍したしむようになったのは、「二合半のおじさん」のせいである。三十代初めに出くわして三十年ちかくつき合った。そしていろんなことをおそわった―へんくつだが、心をひらいた者にはこよなくやさしい。そんな居酒屋が、方々の町の片隅で慎ましやかに提灯を掲げている。よく知る店もよし、見知らぬ町の見知らぬ店もよし。ふらりと入れば、酒に食べ物、店主と客が織りなす独特の時間がそこにある。
目次
1 居酒屋への道(巷の聖域;人生の夜学 ほか)
2 食べる愉しみ(お品書きの研究;お通しの品格 ほか)
3 呑む歓び(注ぎ方教室;人国記抄 ほか)
4 千客万来(相客はたのしからずや;ゴドーを待ちながら ほか)
5 そろそろ看板(影法師のキャリア;酔っぱらい対処法 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
黒猫
25
「ちくわは穴がおいしいのである。」。なんという名言だろう。私は、一人で居酒屋に行ったことはありませんが、この居酒屋愛に溢れた本を読み、一人で居酒屋に行ってみたいと心から思うようになりましたね。ここで書かれている居酒屋とは、チェーン店ではなく小料理屋みたいな感じの居酒屋です。居酒屋との出会いから、自分に合う居酒屋の見分け方、居酒屋の暗黙ルール、居酒屋のお客が居酒屋に行く理由。なんとなくわかるような気がしますね。自分の時間を居酒屋で過ごす。がんも、おでん、おひたし、天ぷら、お刺身。居酒屋に一人で行ってみよう。2017/12/25
こう
23
読友さんから頂いた一冊。最近一人で居酒屋に行くようになったけど、共感できる部分が6割りくらいだった。常連の嗜みは非常に共感できました。サッと飲んで帰って行く…カッコいいじゃないですか!みんなでワイワイ飲むのもいいけど、こういうのも素敵ですよね。という感想を居酒屋でひとり飲みしながら書いてます。2018/04/23
メタボン
18
☆☆☆★ 洒脱というか、飄々というか、肩の力が抜けた文章が心地よく、居酒屋に誘われる。読友も書かれているが、いちいちABCと分類しなくても、思いついたことを徒然に書き綴るエッセイの方が、この題材・文体に似つかわしいと思った。2015/08/26
ソングライン
17
カウンターと四人卓が二つばかりか、小上りがあったりなかったり、そんな居酒屋で、仕事や家庭で直面する嵐にじっと耐える自分を可笑しみつつ、酒を飲む。駅前に乱立する大手居酒屋チェーンではなく、街角にひっそりと暖簾や提灯をだす居酒屋のスタイル、食べ方、飲み方、ひき上げ時等などその楽しみ方を指南してくれる書です。コロナ禍の現在、こうした居酒屋文化は危機をむかえているのではないかと憂いています。2021/04/21
スプリント
15
一人で居酒屋で食事するのも気にならない年齢になりました。居酒屋ライフを充実させる情報が満載です。2018/12/24