内容説明
浅井三姉妹の末娘―江。その夫である徳川秀忠は恐妻の彼女に頭が上がらず、長男家光は母から愛されなかった、などと語られることが多い。しかし史料を丁寧に読み解くことで見えてきたのは、それとは違う江の姿である。両親を早くに失い、頼るべき縁を持たず、明日もわからぬ戦国の世をどのように生き抜いたのか。将軍家御台所として何を守ろうとしたのか。極端に少ない史料のあいだから、いま、江が語り始める。
目次
第1章 浅井三姉妹
第2章 最初の結婚
第3章 二度目の結婚
第4章 三度目の結婚
第5章 将軍家御台所
終章 江の生涯
著者等紹介
福田千鶴[フクダチズル]
1961年(昭和36年)、福岡県に生まれる。九州大学大学院文学研究科博士後期課程中途退学。博士(文学、九州大学)。専攻、日本近世政治史。東京都立大学人文学部助教授などを経て、九州産業大学国際文化学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Toska
11
あれほど評判の悪かった大河ドラマでも、このような書籍を世に出すきっかけとなるのだから侮れない。家光など数人の子が江の実子ではないかもしれない、という刺激的な議論。賛否の分かれるところだろうが、正妻を頂点とした武家の「奥向き」構造、庶子を正妻の養子として嫡流化する事例などと絡め、非常に重要な論点を含んでいる。旧来の「嫉妬深い恐妻」イメージを一層したいという著者の熱い思いと、史料を丹念に追いかけ江の動向を突き止める緻密さとのバランスが取れた良書。2023/02/19
maito/まいと
9
江に関する研究本。少ない史料と、時代背景・慣習・考え方に推測を交えて、江の定説を丹念に検証している。佐治一成との結婚に関する疑問や、江の実子に関する真説など結構大胆な展開と、(推測や状況証拠が多いが)根拠を示しての説明は引き込まれるおもしろさ。大河ドラマをきっかけにして登場人物の研究が進むのはあることなので、江に関してはさらなる研究が進んでくれることを期待☆2011/10/29
うしうし
7
本書の刊行は2010年11月であることから、大河ドラマ「江」の放送直前である。2011年頃に一度読了したが、その時はまだ読メに登録していなかった。このたび、宮本義己『誰も知らなかった江』を読んだ関連で、本書も再読した。江の実子が千・初・忠長のみで、家光・子々・勝・和は江以外の女性からの出生であるとする結論はいまだ信じがたいが、当時の女性観の解釈や江の人物像の位置づけ(p224)などは、読んでいて感動的でもあった。2023/04/03
ロッキーのパパ
6
江といえば、通説というか小説などの、秀忠の浮気を許さない嫉妬深い年上妻というイメージが強い。が、本書では、戦国武将の娘らしく権力者の意向に翻弄されながらも、最後には将軍の妻としての役割を果たす、いや確立した女性という姿を提示している。家光が江の実子ではないという大胆な説も出てているけど、史料に基づき、さらに学者らしい落ち着いた筆致で書かれており、説得力がある。それにしても、女性に関する史料ってほんとに少ないんだね。2011/02/21
おらひらお
4
2010年初版。将軍の正室でも、女性というだけで資料が少ないことを再確認できました・・・。世間のイメージとは少し異なると指摘しています。2013/01/06
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