内容説明
神仏に罪の有無や正邪を問う裁判―神判は、前近代の世界各地で広く見られ、日本では中世、湯起請や鉄火起請が犯罪の犯人捜しに、村落間の境界争いにと多用された。熱湯の中に手を入れ、あるいは焼けた鉄片を握り、火傷の有無で判決が下される過酷な裁判を、なぜ人々は支持したのか。為政者、被疑者、共同体各々の思惑をはかれば、神の名を借りた合理的精神すら見え隠れする―豊富な事例から当時の人々の心性を読み解く。
目次
第1章 参篭起請―鎌倉時代の神判
第2章 湯起請―室町時代の神判
第3章 ムラ社会のなかの湯起請
第4章 当事者にとっての湯起請
第5章 恐怖政治のなかの湯起請
第6章 そこに神はいるのか?
第7章 鉄火起請―戦国から江戸初期の神判
おわりに―世界文明のなかの中世日本
著者等紹介
清水克行[シミズカツユキ]
1971年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。現在、明治大学商学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さつき
38
大河ドラマ真田丸で鉄火起請が登場してからどんなことなのかずっと気になっていました。古代に行われた盟神探湯、室町時代を中心に見られた湯起請、戦国時代から江戸初期の鉄火起請と順に説明されていて、わかりやすかったです。湯起請について決して信心から行われていたわけではなく庶民の側からは集団を平和に維持していくための方法として支持されたということ。為政者側からは自分の意を通す際の方便として用いられたということにすごく納得しました。神仏を尊ぶ気持ちが薄れるがゆえに、より過激な鉄火起請が生まれるというのも恐ろしいです。2016/09/04
テツ
26
学生時代の教科書で誰もが見覚えのある、盟神探湯を始めとした裁きを神に委ねる神明裁判というシステム。太古の人たちが神という存在を信じ切っているほど純粋だったという訳ではなく、神という超越者の裁きだとすることによって正邪を明らかにして共同体を円滑に運営するという、宗教的な熱狂とは一線を引いたある種冷めたシステムだったという側面もあることを教えて貰った。そりゃそうだよなあ。神明裁判の成り立ちや歴史も知ることができて面白かったです。あんな荒唐無稽なことを共同体が受け入れた理由もぼんやりと理解できました。2019/06/13
TSUBASA
25
江戸時代、村の諍いなどを解決する方法として焼けた鉄を握って火傷するか否かで神に対するやましい気持ちがあるかを判断する鉄火起請というものがあった。この過激な神判のルーツは何なのか?室町時代の湯起請、古代の盟神探湯まで遡り、裁判を神の手に委ねる神判の正体に迫る。昔の裁判について考えたことがなくて入り込むまで辛かったけど、話が神への信仰に及んできた辺りから興味をそそられた。一見神への信仰の賜物と見れる神判が実は神をダシにした半信半疑の代物だったというのが面白い。内心神は何もしちゃくれないと思ってたのですな。2017/07/26
ぽんすけ
24
もし誰かと争いごとになってその是非を熱湯に手を入れたり、真っ赤に焼けた鉄を握って怪我の有無で決めようぜ!となったらどうしますか?私ならそんなことできるか!とブチ切れる自信が100%あります。だけど昔はこれが正式な調停方法として存在してたんですよね。熱湯裁判というと「盟神探湯」がぱっと思い浮かぶ貴方!これでどうして「クカタチ」って読むの?と私も高校生の頃思いました。ただこの古代の盟神探湯と中世の熱湯裁判「湯起請」には関連性はないとのこと。古代で一旦消えたこの裁判方法がなぜ中世に又現れたのか。2025/04/03
鯖
22
今晩の真田丸に鉄火起請が取り上げられることもあり復習。鉄火起請とは赤く焼けた鉄を神の元へと運んだり、熱湯から石を取り出したり等の成否で神威を借り、主張の当否を決すること。神による審判という言葉から篤い信仰心によるものと思っていたが、共同体の秩序維持や弱者の起死回生の手段としての一発逆転の側面もあるのだなと思った。中世ヨーロッパの魔女裁判よりは逆転の率は高そうかも。籤引き将軍様に一章割かれていたのがさすがだなとしみじみ。神威を借りるため、将軍職についたばかりのころに多用されていたというのが面白かった。 2016/03/27
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