内容説明
庭の隅や道端にひっそりと息づく苔たちは、見るものに安らぎを与えてくれる。インテリアとしても人気があり、美しい苔を求めて寺院や庭園を訪れる人も少なくない。ふだん見慣れた苔だが、その一生はどのようなものなのか?乾燥や寒暖など厳しい環境を耐え抜く適応能力の秘密とは?コケ植物の専門家が、知られざる生態をわかりやすく解説。私たちの生活や文化との深い関わりにふれながら、その魅力を余すところなく伝える。
目次
第1章 コケ学事始め(根を持たず胞子で増える;受精の仕組みと胞子体 ほか)
第2章 おそるべき環境適応能力(極寒の極地から熱帯雨林まで;隔離分布の不思議 ほか)
第3章 苔はこんなに役に立つ(装飾と鳥の巣;味と匂いの不思議な成分 ほか)
第4章 苔に親しむ(苔と日本人;一足早い新緑 ほか)
著者等紹介
秋山弘之[アキヤマヒロユキ]
1956年(昭和31年)、大阪府に生まれる。京都大学理学部卒業。同大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。現在、兵庫県立大学自然・環境科学研究所助教授。兵庫県立人と自然の博物館研究員を兼任。専攻、植物分類学
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感想・レビュー
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kinkin
84
今、苔がブームらしい。苔を使ったテラリウムや苔玉、盆栽に埋め込んだ苔など。この本はそんな苔を紹介した本で一番ベーシックかもしれない。ただ残念なのは写真やイラストが少ないところ。最近はカラー写真をふんだんに使ったビジュアルな本がたくさん発行されているのであわせて読むといっそう分かりやすいと思う。ネットでコケを使ったテラリウムが売られているのを見るとどれもけっこうな値段で売られている。そういったものを買うのもいいがやはり自分なりに育ててみるのが一番楽しめるのではないか。私もやったことがあるが簡単です。2018/06/10
やいっち
37
苔の画像を探してたら、むかし、本書を読んでたことが…。懐かしいね。
とんかつラバー
12
苔に興味を持ったので読んでみたのだが、学者の方が書いた文章という感じで、ちょっと読みづらかった。苔にもいろんな種類があって高濃度の鉱物が溶け出した所(有毒)や立ち小便の跡を好んで生えるものもある。苔を食べる生物は少ない。利用する生物は人類含め割といる。ナンジャモンジャゴケの写真は載せて欲しかった。2021/11/12
おおた
11
文字の多い新書だからこそ苔のおもしろさを伝えられることもある。大気の汚れに敏感な反面、銅や鉄を体内に取り込める種類があったり、雄・雌の区別どころか自らクローンを作ったりする仕組みなどがきちんと説明されている。とはいえ、苔のおもしろさはやはり造形にあるのも事実。口絵と本文の白黒写真だけでは、書かれている苔の造形を把握しきれないので、他の入門編的図鑑のような本で造形をある程度把握しておいて、もっと知りたい場合にひもとく一冊だと思う。観察に行って、帰ってきて再読するたびに新たな発見がありそう。2015/05/23
syuu0822
5
普段気にもしないものを調べてみると案外面白かったりするものです。苔が種ではなく胞子で増えるなんてとても意外でした。時間があれば苔庭にでも行ってみようかなと思いました。2022/10/08