内容説明
日本の川は多くの命を育んできた。しかし、いまでは過疎や開発で、人々の生活は川と切りはなされてしまった。もういちど、川の流域を歩き回ってみよう。歩けばいろいろ見えてくる。野生動物たちのこと、流域に暮らす人々の林業・農業・漁業や未来への思い…。石狩川、最上川、多摩川、太田川、筑後川を、山のてっぺんから海までたどり、川を通して人と自然の素顔を再発見する旅。
目次
第1部 太田川(里に下りたクマ;クリの木 ほか)
第2部 最上川(水源の原生林;田園学舎 ほか)
第3部 石狩川(大雪山;ラベンダー ほか)
第4部 多摩川(身近な自然を守る;多摩川センター ほか)
第5部 筑後川(日田杉の山;幾山河 ほか)
著者等紹介
向一陽[ムコウイチヨウ]
1935年、佐賀県唐津市生まれ。60年、東京外国語大学英米科卒業、共同通信社入社。社会部長、論説委員兼編集委員などをへて95年退社。日本記者クラブ会員。日本山岳会会員。奥アマゾン探検隊(73~76年)隊長ほか、アンデス、南極、北極、アラスカ、オセアニア、ミクロネシア、ヒマラヤ、アジア各地で探検、登山、取材
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感想・レビュー
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編集兼発行人
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我国における河川の上流から下流までを踏査した記録。太田最上石狩多摩筑後といった具体の各々を取り巻く自然や社会について関係者へのインタビューを織り交ぜながら浮き彫りにする構え。里に下る熊。教育資源としての過疎。機械と化学とに因る第一次産業従事者の貧乏。状況に対する部外者の勝手な解釈。水利を巡る闘争。絶滅への危惧と回復への意志。等など河川を「ただ水を流すだけに過ぎない存在」としないための考察に手掛かりとなる要素が凝縮されていてダムと護岸とによる治水が齎す莫大な負債を返済する身近な活動へと繋ぐ参考書として有用。2014/04/25