内容説明
1910年の日韓併合以来の不幸な状況下で来日した金素雲は、朝鮮古来の民謡や童謡を日本語訳することで、日本文壇へのデビューを飾った。それによって日本の文人たちの支持を得た彼の活動は、韓国近現代詩の日本語訳へと向かう。本書は、近代文芸の一ジャンルとして確固たる位置を獲得した二十世紀前半の韓国新体詩を日本人に紹介した金の仕事を再評価し、文化交流とはなにかを考えるものである。
目次
第1章 哀傷調の恋歌
第2章 故郷喪失から祖国喪失へ
第3章 名訳か、越権か
第4章 寓意と抒情の迷路―藤間生大との論争を中心に
第5章 韓国と日本の狭間に生きて
第6章 アンソロジーとしての『朝鮮詩集』
第7章 その他の日本語訳詩集
終章 『朝鮮詩集』の評価―親日文学の是非を中心に
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぱせり
12
原詩が書かれた時代を思い浮かべ、訳されなかったその心もまた思い浮かべてみる。美しい詩の文字の並びのその横に、ないはずの空白が、見えてくるような気がする。そこにきっと訳されなかった心がある。日本人の私にはきっとわかりきれない深くて大きな「恨」に昇華した言葉がそこにあるに違いない。文字になった言葉より重く。 2015/01/27
壱萬参仟縁
5
ハングル文字は全く理解できない。「忘れ得ず思い出すでしょう」(35頁) 못 ᇰᇬᆽ ᆼᆿ は、「忘れ得ず」? ちょっと、形が違う・・・。うーん。ヘブライ語みたいな形もあるし・・・。ハングル初級をやってみたくはなった。2013/04/22
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