内容説明
APEC提案、カンボジア和平の国連提案、農業貿易の自由化など、オーストラリアは国際社会の構想を次々と実現してきた。中規模な国家ながらベンチャー精神にあふれた対外政策はどこから生まれてきたのか。さらにアジア系移民が暮らす多文化社会は、かつての白豪主義からの一八〇度の転換であり、社会革命といえる。英帝国、米国、アジア諸国との関係を軸に一五〇年の歴史空間を描き、新しい国家像の核心に迫る。
目次
第1章 揺れる自画像とアイデンティティ
第2章 理想社会の建設―白豪主義とアジア系労働者問題
第3章 ヨーロッパの世界分割競争に翻弄される―英帝国の敵
第4章 対外脅威と安全保障―日本問題の登場
第5章 大国政治への関与と挫折―国連外交と冷戦の戦士
第6章 多文化ミドルパワーの国家像―ベンチャー型中企業国家への模索