中公新書<br> 物語オーストラリアの歴史―多文化ミドルパワーの実験

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中公新書
物語オーストラリアの歴史―多文化ミドルパワーの実験

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  • サイズ 新書判/ページ数 296p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121015471
  • NDC分類 271
  • Cコード C1222

内容説明

APEC提案、カンボジア和平の国連提案、農業貿易の自由化など、オーストラリアは国際社会の構想を次々と実現してきた。中規模な国家ながらベンチャー精神にあふれた対外政策はどこから生まれてきたのか。さらにアジア系移民が暮らす多文化社会は、かつての白豪主義からの一八〇度の転換であり、社会革命といえる。英帝国、米国、アジア諸国との関係を軸に一五〇年の歴史空間を描き、新しい国家像の核心に迫る。

目次

第1章 揺れる自画像とアイデンティティ
第2章 理想社会の建設―白豪主義とアジア系労働者問題
第3章 ヨーロッパの世界分割競争に翻弄される―英帝国の敵
第4章 対外脅威と安全保障―日本問題の登場
第5章 大国政治への関与と挫折―国連外交と冷戦の戦士
第6章 多文化ミドルパワーの国家像―ベンチャー型中企業国家への模索

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

90
出版はシドニー五輪の2000年。オーストラリアの歴史からみた現代の社会の特徴である多民族性と多文化性と国際社会におけるミドルパワーとしての外交論を論じている。そもそも豪州には独立記念日がない。1770年キャプテン・クックが上陸し、1901年に連邦国家が誕生した。シンガポールへの日本軍の進軍とダーウイン空爆が英国への信頼の失墜と米国へ舵を切る契機となったことは興味深い。オーストラリア国民が生まれたのが1948年。1967年アボリジニが国民として認められ、1970年代から国策としてアジア系人口の増加を認めた。2021/09/09

かんがく

13
2000年の本なのでやや古いが、タイトルにある「多文化」「ミドルパワー」に焦点をあててオーストラリア史を記述。日本は海を挟んだ隣国であり、太平洋戦争でも戦っているがどうにもオーストラリアの歴史というと思い浮かばない。アメリカ独立後のイギリスの反省から行われた植民地政策と白豪主義、独立後のアメリカとの接近と反共主義、ベトナム戦争での挫折からの移民受け入れによる多文化社会、そして大国でも小国でもない独自の外交であるミドルパワー。地理的に近い東南アジア史と関連付けて学ぶ必要を感じた。2020/02/08

富士さん

7
再読。「多文化」と「ミドルパワー」というテーマでオーストラリア史を明快に説明した、物語シリーズの中でも名著のひとつです。本書には古くさい思い込みから自由にしてくれる、新鮮な雰囲気があります。それがオーストラリアの歴史と重なって、不思議と清々しい読後感を与えているように感じます。労働運動と排外主義は民主的な選択であること。イギリス文化とその帝国主義的余沢を不動の軸にしながらも、多文化にシームレスに移行したこと。その中での英語中心の言語政策は、多様性を実際に運用していく際の重要な点を示しているように思います。2024/02/27

shimashimaon

5
ダグラス・マレー『西洋の自死』に、オーストラリアにも植民地主義に対する罪の意識があるという指摘があったこと、中国史は好きですが、シーパワーである日本はランドパワーである中国とは価値観の共有が困難なのではないかと思うようになったことが、本書を手に取ったきっかけです。ベトナム戦争に参戦したことが難民への罪悪感を醸成し、移民受け入れ積極策へと移行したという指摘は面白いと思いました。詳細な記述はありませんが、中国がソロモン諸島と安全保障協定を締結したことは知りませんでした。5月21日の下院選の動向にも注目したい。2022/05/13

ひろし

5
知ってそうで知らないオーストラリア。人懐こそうな国民性の割に、白豪主義や海外派兵等は結構えげつない感じ。多元外交や国際協調はお手のもので、アイデンティティクライシスを乗り越えたら、環太平洋の中核になりそうな予感もする。日本ではあまり目立たないけど。とはいえ、日本も移民関係では学ぶべきところが多そうな国である。2013/05/04

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