内容説明
バラと人との関わりは古い。野生植物であったころから、素朴な美しさが我々の祖先の心を魅了していた。しかし人間は、より美しくより強いバラを求めて改良を加え始める。世界じゅうのバラが交配され、原生バラは今見るバラとなった。が、短期間に劇的な発達を遂げることができたのは、帝政ローマ時代まで遡るバラへの高貴なイメージや憧れがあったからである。本書は、そうした科学と芸術の融合の精華の歴史を繙くものである。
目次
第1章 クノッソス宮殿の謎
第2章 ギリシアとバラ
第3章 ローマとバラ
第4章 バラの植物学
第5章 バラの園芸化の歴史を辿る
第6章 オールド・ガーデン・ローズ
第7章 モダーン・ガーデン・ローズの黎明期
第8章 バラの花譜
第9章 世界の野生バラ
第10章 日本のバラ
第11章 バラの現在・未来
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
48
私は薔薇愛好家ではないが、星の王子様が愛した彼女=花が、何故バラだったのか気になっていた。バラは園芸植物の代表格。本書はバラを通して園芸の歴史を知ることができる。ミノア文明や古代ローマまで起源を辿るが、園芸としてのバラはルネッサンスから。ナポレオン妃ジョセフィーヌで頂点に達す。世界のあらゆるバラを集め図鑑にしたのだ。当時、自然雑種だけで2000種の園芸品種があった(野生種は100種)。そして異種間の人工交配のモダン・ガーデン・ローズが1867年に始まり現在に至る。ヒトのこの情熱には驚嘆するばかりだ。 2015/10/04
うえ
6
「バラという、最も濃厚な西欧イメージの溢れた園芸植物の今日をもたらしたのは、ベンガル・ローズあるいはチャイナ・ローズと呼ばれるコウシンバラである。コウシンバラなくして今日の多様なバラは存在しなかった…重要な性質はその四季咲きの性質で、コウシンバラとの交配によってはじめて本格的な四季咲きのバラが、ヨーロッパに登場する…中国では、ヨーロッパとは別に独自にバラの園芸化が進んでいた。その歴史は数千年に及ぶ。…ハーストは、イタリアではすでに16世紀にはコウシンバラの系統のバラが栽培されていたと考えたのである。」2023/07/05
竜王五代の人
4
主に庭園で観賞されるバラの通史。まず、香油を取るためのある種の農作物として始まり、ローマ帝国時代に大々的に愛好されるようになる。しかしその頃は、今の目から見ると素朴なものなのに、怒涛のように消費されていたとあって、今でも花としてはシンプルなまま愛されるサクラを連想した。とはいえ、サクラは面で、バラは直に鑑賞されるものだから、ローマ人の感性が違うのかも。その後の歴史も詳細に語られるが、図がそう多くない割には固有名詞が多く、今一つピンとこなかった。読む側の私の問題で、悪い本ではない。ジョゼフィーヌ妃アゲ。2026/01/21
どろすて
3
品種が多すぎて何だかよく分からないバラについて、詳しく知りたくて古書で購入しました。バラの原種たち、品種改良と分類体系、及びその歴史について、ひじょーに詳しくかつ判りやすく記されています。バラの品種についての本って、カタログや写真集のようにそれぞれを一覧で載せてるものは星の数ほどあるんですが、品種の体系を簡潔に解説した書籍って驚くほど少ないんですよね。本書を読むとバラの見方が大きく変わりますよ。2017/05/21
かず
2
新品種ばらのコンクールを担当することになった。国際香りと文化の会会報誌「VENUS」での「バラの文化史」という対談を見て、氏を知ったのがきっかけ。今までは、バラ=ヨーロッパという観念であったが、南米、アフリカ以外の広い地域に分布する植物であること、西アジアからギリシャを経、ローマでの流行、ルネサンスでの再流行があったこと、18世紀間中に中国の、19世紀に日本の野生種が交配され、現在、花屋で見る高芯剣弁のバラができあがったことが、新書サイズによくまとめられている。 バラの世界は奥深い。そう感じた。2014/05/28




