内容説明
記紀の時代から木の神イタケルが鎮座する「木の国」とされ、森の神スサノオゆかりの「神々の地」とされた紀州熊野は近年まで、圧倒的な自然の中で、森の恵みによってのみ生きる暮らしを続けてきた。今、森の荒廃と過疎にあえぐ全国の山村に野火のごとく広がる「森林交付税構想」は、この危機を超克する新しい論理として熊野の中核・本宮で生まれた。本書は本宮の一山村を通してみた熊野の風土と人間、その復活をルポルタージュする。
目次
第1章 神々の森と人々の暮らし
第2章 山村集落「野竹」の崩壊
第3章 森林交付税構想
第4章 復活する熊野―過疎山村復興の新しい力
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
根室
2
・グローバル化によって木材価格が下がっているため、頑張っても儲けが出ない ・森林は手入れを続けなければ荒れ果ててしまい、木を売れない上に重大な環境問題を引き起こす恐れがある ・森で働くというのはキツい汚いうえに、給料も安い。そして人手が不足し高齢化が深刻・・ それでこの構想は今はどうなってるんでしょう2011/08/26
和沙
2
「そうです、緑がたくさんあるところほど貧乏なんです、この国では」…田舎に田舎らしさを求める都会の人々に、知っておいてほしい現実がここにあります。過疎・高齢化、そしてインフラ不整備によって故郷を追われる人もいる。そんな中、和歌山県本宮町で「森林交付税構想」が生まれたいきさつとは。2010/06/21
寿里子
1
熊野古道に行こうと思い、図書館にあった熊野関連の本だったので偶然読んだ。まったく熊野古道とは関係のない本だったが、かなりおもしろく一気に読んだ。日本の森林を国民ひとりひとりが支えなくてはいけないな。非常におもしろい本でした。2011/05/06