内容説明
本書は、南北の出自、師弟関係を含む人脈、寛政期から化政期への政治経済的な変動、当時の庶民の嗜好、遊里や見世物との関わりなどを手懸りに、一つの南北像を描く試みである。
目次
発端・「おお南北」か「だい南北」か
南北の肖像
南北の街
劇界に身を投ずる
立作者となる
南北無学説
奇想「鯨のだんまり」
出世作「天竺徳兵衛」
寛政かぶきのリアリズム
小幕作者時代と道化方〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
wasuregai
3
悪所の世界は、庶民文化の源泉でありながら、身分の悪さという二重構造をもつ、江戸の政治社会が造り出したものであった。かぶき戯曲の世界構造が二重構造であるのも、よくその二重構造を駆使して綯い交ぜ式様式性を最高度に発揮しているのも、南北の生まれ育った環境文化が血肉となっていたからなのだとおもう。(P16)南北には、見世物ショー的な軽いノリの中に人間のナマの姿があったり、芝居の設定の中に南蛮文化が流入しはじめている兆しが見えていたり、つぶれて膿が出てくる寸前のデキモノのような感覚を覚える。2011/01/17
梟
2
「本書は『鶴屋南北伝』ではない。南北の伝記を書こうとしたのではなく、わたしに住みついた南北像を彫り出してみようと試みたものである」(あとがきより)江戸歌舞伎の大作家、四世鶴屋南北の人物像を追った一冊。伝記ではないため、人生を細かく追っているのではない。南北のヒット作を追い、そこに見える南北の素顔、ひいては江戸庶民・江戸歌舞伎の素顔を探求した内容となっている。南北の「見世物」への想いと「生世話」の確立、「桜姫」「四谷怪談」などに見るグロテスクと小説の可視化。大南北の偉業を解説した一冊。2019/01/25
がんちゃん
0
鶴屋南北の底辺には、「見せ物」があった。それが彼にとっての「かぶく」ということでもあり、また当時の観客が望んだことでもあったという。江戸もいよいよ幕末が近くなり、鎖国制度も破綻しつつあった時代、未知なるものへの不安と期待が入り乱れていった。その民衆の心が奇想なもの、怪奇なものを欲したのではないのか。そして、そんな南北が描いた世界こそが当時の民衆の心の風景であり、リアリズムであったのではないのか。南北、再認識。2015/04/08
rouningyou
0
つまらないので挫折。2012/07/13




