中公新書<br> 江戸の親子―父親が子どもを育てた時代

中公新書
江戸の親子―父親が子どもを育てた時代

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  • サイズ 新書判/ページ数 240p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121011886
  • NDC分類 379.9
  • Cコード C1221

内容説明

豊富な育児書や教科書が生み出された江戸時代の特徴は「父親が子どもを育てた時代」ということができる。「家」の継承に重きをおく社会では、子育てはいわば「公」のことであり、女を教導して良き子育てをすることこそ家の最高責任者たる男の義務であった。しかし、その意識も時代とともに変化し、自己愛の延長として取り組む父親像も見られるようになる。土佐藩士の記した『燧袋』に、江戸後期の家族とこれを取巻く社会の実際を窺う。

目次

序章 楠瀬大枝日記『燧袋』の世界
第1章 家制度下における結婚と子ども
第2章 子どもの病と死
第3章 城下町の暮らしと子ども
第4章 教え学ぶ風景―手習い塾・藩校・サロン
第5章 江戸時代の子育てと『燧袋』

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

小鈴

11
江戸後期の土佐藩の下級武士である楠瀬大枝の日記をもとに結婚や子育ての詳細をたどりながら、育児書が豊富に出回った江戸時代の父親が子供を育てた時代を浮き彫りにする。武士から育児するイメージは思い描けなかったが、乳母を雇う余力のない下級武士にとって子守は当たり前なのには驚いた。姑がいないと更に育児を背負わざるを得ず、現代の共働き家庭のようだ。教育を授けるのは父親の役割であったが、明治になり公教育が普及されることで影を潜めた。2014/08/05

イチイ

4
土佐藩の下級武士だった楠瀬大枝が19世紀前半の記した日記の記述を通して、「父親が子どもを育てた時代」だった江戸の子育てのあり方を描く育児の歴史書。「父親が子どもを育てた」というと、食事や排泄の世話というイメージがまず湧いてきたが、実際には当時は子育てが家の安定的な存続のために家長に求められた子どもの成育行事や教育に関する話が中心だった。日記という性質上、このようなある程度大きな出来事が中心になるのは避けがたいところか。乳幼児死亡率の高かった時代の、子を亡くした親の悲嘆の話が面白かった。2018/11/18

ぴーたん

2
ずーーーっと、子どもは母親が育てていたのかと思いきやそうでもなかったらしい。江戸の武家社会においては、家の存続が死活問題だったのでその価値観の継承に父親が出て行くのが普通の時代もあったとか。武士は出自で出世が望めなかったこともあり、仕事はほどほどに趣味などに生きがいを求めることがあったというのも面白かったです。2010/03/29

げんざえもん

0
御畳方や御勘定方を務め、文人としても名を馳せた下級武士の日記を紹介した本。江戸時代までは子の教育は家長の務めであったとは知っていたが、跡取りでもない女児に対しても、年中行事に連れて行き、手習いを指導し、才能あれば文人仲間や藩主一族に紹介して回るイクメンぶり…。明治になって政策的に男を育児から引き離し、良妻賢母に誘導していった事がよく分かる。2025/03/25

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