内容説明
奈良時代、寺院建設はもちろん、道路や河川・池溝の整備や掘削、あるいは架橋と、多くの事業を行ったという行基の実像は俗説の奥に隠れて未だ明らかではない。行基はなぜこれほど多くの事業を成し得たのか。行基像、あるいはその背景を、文献資料だけでなく、事業の足跡を実地に検証するとともに、彼の行動の背後にある有力な渡来人と技術集団、また同時に彼らによりもたらされた神や神仙思想を、行基八十余年の生涯にとらえる。
目次
1 菅原寺―行基入滅
2 家原寺のあたり―行基の原風景
3 飛鳥へ―出家と修行
4 禁圧の風景―行基は呪術者だったか
5 都鄙周遊―道・水路・橋
6 池溝開発と四十九院―したたかな宗教者
7 遷都と大仏建立―異能の人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
波 環
2
行基が、当時の国家権力との距離感を保ちつつ、ディベロッパーとして成長していく様を彼の家系的背景をからめながら描く2018/05/12
rbyawa
1
h004、どうしても古代のこの時期は政治側からの記録を読むことになるので行基というと「民衆を誑かす怪僧」のような存在としてまず聞き、けれどなぜか聖武天皇に東大寺大仏(もとは奈良に作る予定ではなく、近江だったようです)を作るための人材として登用され、けれど失敗して現在の東大寺の良弁などに引き継がれた、というのが大まかな認識だったんですが。土木工事に多く関わった記録を持つ、どうもインフラ施設を行う私僧ってほうが正しい形容詞なような? 当人の出自が渡来人の家系らしい、というのも関係あるのかなぁ、研究を待ちたい。2017/01/08
concreteseijin
0
金山衆2016/05/29
concreteseijin
0
「力がある」ってこういう人のことを言うじゃないの、お兄さん(BIG BROTHER)!!2016/04/05
nomunomuda
0
行基のことは知らなかった。彼のこと、とくにその業績について詳しく知りたいと願い読みはじめたが、正直なところ、この方向の本ではなかったようだ。残念。2020/10/04