内容説明
鳥羽伏見の戦に勝ったものの新政府の財政は苦しく、“貧国強兵”の状態にあった。英国東洋銀行(オリエンタル・バンク)は、イギリス公使パークスの積極的な対日政策を背景に緊急融資、明治政府と親密な関係を築く。以後、新貨鋳造、鉄道建設に伴う外債発行等多面的に協力、日本の近代的通貨金融制度形成にも大きな影響を及ぼした。中央銀行制度確立以前にその役割を担った一銀行の栄光と没落を通して明治初期の経済社会を浮彫りにする。
目次
第1章 明治政府とオリエンタル・バンク
第2章 近代通貨・金融制度の創設
第3章 大坂造幣寮の建設と運営
第4章 日本最初の鉄道建設と外国公債
第5章 洋銀券と小切手をめぐる攻防
第6章 第2回外国公債の発行
第7章 三井組への金融支援
第8章 オリエンタル・バンクの栄光と挫折
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
111
1842年にインドのボンベイで設立された銀行が、日本の明治政府創設当時にかなり、金融支援を行ったということが書かれています。当時は日本の銀行などまだない状態で資金的にはかなり明治政府は助かったのだと思います。維新の当時からの英国政府の後ろ盾もあったのでしょうが、インフラをおかげで整備することができたのだと思います。ただこの銀行はその後、地元でのバブル的な対応によって創立から50年で消滅してしまいます。そのことも詳しく書かれています。2016/01/21
rbyawa
1
e061、明治初期の鉄道関係の資金の流れを見ていたら、何度か出てきたオリエンタル銀行のことをもう少し知りたくて、ということで手を取った本。正直、繰り返しお世話になっているとは思っていたけれど、本当に最初の最初の時点からとまでは思っていなかった(その後拡大志向で破綻したので評価が下がってしまったのだとか)。正直、本当に英国公使とオリエンタル銀行の存在がなくて日本がやっていけたのだかどうかが自信がない、しかし、なんでこんなに親身になってくれたんだろう? もう少し英国サイドからの情報もあるといいのかもしれない。2014/03/02
紙魚
0
よくもまあ国を盗られずにすんだもんだ