内容説明
20世紀の“民族の悲劇”カンボジア戦争は、91年秋の包括的和平合意で一応の終止符が打たれた。しかし同じ民族同士が戦った後遺症は深く、とりわけヘン・サムリン政権とポル・ポト派の相互不信と憎しみは根強い。シアヌーク殿下の帰国だけで真の和平と民族和解がもたらされる訳ではない。ポル・ポト派による大虐殺から和平に至る道を辿り、大国の思惑に翻弄されつづけたカンボジア問題を、戦線と和平交渉の現場からレポートする。
目次
プロローグ 民心から離れた戦争
第1章 ポル・ポト派のルーツ
第2章 ポト政権の暴政とサムリン政権の誕生
第3章 反ベトナム三派連合政府の結成
第4章 和平交渉の胎動期―1987年
第5章 シアヌーク=フン・セン会談実現
第6章 ジャカルタ非公式協議
第7章 「戦場から市場へ」
第8章 パリ国際会議
第9章 ベトナム軍撤退
第10章 東京会議の開催
第11章 米中の政策転換と和平実現
第12章 和平後のカンボジア
エピローグ カンボジア和平と日本の貢献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
57
30年ぶりくらいの再読。著者は共同通信のジャーナリストで、前半はベトナムのカンボジア侵攻とポル・ポト支配の頃の歴史を概説、後半はカンボジア和平までの交渉プロセスを詳述してある。もう少し前半の内容を深く知りたいと思った。後半に関しては、著者自身の取材とかやりとりもあって、かなり臨場感にあふれたもの。シアヌーク殿下の政治力の高さと気まぐれさが特に興味深かった。あとは国際環境に右往左往するカンボジアという小国の運命に嘆息するばかり。あれからもう30年かと思うと、時代の移り変わりの早さを改めて感じた。2023/02/05
おらひらお
2
1992年初版。ポルポト派のルーツから1990年代の和解に至るまでを記者である著者の取材を通してみたカンボジアの争いの歴史の本。小さな国での出来事ですが、冷戦、中ソ対立、中越対立など地球規模の対立構図の縮図がカンボジアであることがわかりました。ただ、人名を何度も確認する必要があってなかなか読むスピードが上がりませんでした。2012/04/09
カゲシタ
0
ぽる☆ぽと (人名がまったく覚えられない)2014/07/28