内容説明
建国40年、中国は「革命」と「統治」の間を揺れ動いた。2つの課題の相剋は1989年6月4日、決定的に噴出し、「天安門事件」へと発展する。毛沢東の夢見たユートピアは崩壊したのか。本書は民主化要求と軍事制圧という事件の二重構造を解明、皇帝・王朝による伝統的支配体制と密接に結びついた一党独裁制をソ連・東欧と比較しつつ分析し、共産党存続の諸要因を検討、中国の近現代化の成果と課題を展望して今後の選択を示す。
目次
序章 東は東、西は西?
第1章 近景としての天安門事件―建国40年史と改革10史の相剋
第2章 中国共産党70年の歴史―歴史のif
第3章 建国40年史のなかの中国共産党
第4章 改革10年史のなかの中国共産党―歴史のifの再現
第5章 天安門事件以後の中国共産党―中国共産党生き残りの選択
あとがき ユートピアの終焉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
3
中国共産党という日本からは理解しえない組織をくわしく解説している。組織自体の話なので政争ほど詳しくはないが、共産党に対してどう処すればよいか、物理でいう支点が見えてくると思う。成立時の人物がいなくなる中、党の運命はいかに?2015/07/10
fuj
1
鄧小平もゴルバチョフも金日成も生きてた頃、六四後の不安定さがまだ残るなか、老人のカリスマ的求心力が失われた後の未来がどう見えていたかを描く。シナリオには現状と近い、開放によって経済成長を推し進めるシナリオもあるが、想定外はカリスマを不要にするだけの高度成長が、しかも20年に渡って実現したことか。更に江沢民の三个代表が、汚職をボンドに広範な権益層を体制側に取り込み、これもカリスマの求心力を補完したものだろう。今後減速が確実視されるなか、新たな凝集力をどう見つけていくものでしょうか。2012/06/13
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