内容説明
皇女ガラ・プラキディア、女伯マティルデ、聖者フランチェスコ、皇帝フェデリーコ、作家ボッカチオ、銀行家コジモ・デ・メディチ、彫刻家ミケランジェロ、国王ヴィットリオ・アメデーオ、司書カサノーヴァ、作曲家ヴェルディの10人を通して、ローマ帝国の軍隊が武装した西ゴート族の難民に圧倒される4世紀末から、イタリア統一が成就して王国創立専言が国民議会で採択される19世紀末までの千五百年の「歴史=物語」を描く。
目次
皇女ガラ・プラキディアの物語
女伯マティルデの物語
聖者フランチェスコの物語
皇帝フェデリーコの物語
作家ボッカチオの物語
銀行家コジモ・デ・メディチの物語
彫刻家ミケランジェロの物語
国王ヴィットリオ・アメデーオの物語
司書カサノーヴァの物語
作曲家ヴェルディの物語
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
129
再読した!やはりためになった! この本は古代ローマ帝国が解体された時からイタリア王国が統一されるまでの1500年の歴史を描いた作品である。単に歴史を描いた作品ではない。各時代に活躍した10人の人物にスポットを当てたものになっている。私は世界史を深く勉強していないためスポットを当てられた10人のうち何人かしか知らなかった。だが、この10人が各時代において歴史の流れを作るポイントにいたのは間違いない。物語で歴史を理解すればその時代を相対的に理解することが出来るとわかった!2019/12/23
skunk_c
60
タイトルに偽りなし。10人の人物(必ずしも権力者とは限らない)の生き様をたどりながら、当時のイタリア、さらにはヨーロッパ情勢を織り込み、軽妙かつ品のある文章で時代を紡いでいく。章末には登場人物ゆかりの地の点描が添えられ、旅情を誘う。通して読んで良し、各章バラ読みして良しという、中公の本シリーズでも屈指の名著だと思う。それも著者の歴史とイタリアに対する深い理解があってのこと。彼の地は現代にあってもなお混沌としたものを感じるが、そのルーツを垣間見ることができた気分だ。続編もあるので早速読んでみようと思う。2020/06/03
Nat
24
人物と都市の物語からイタリアの歴史が見えてくる。また訪れたい街が増えました。2019/01/27
紅茶虎
23
イタリア語では、「歴史」と「物語」が同じ単語で表されるという。したがって、各章に主人公があり、その人物の生涯や取り巻く環境の変化が小説のように語られていく。章の最後には、舞台となった街の現在の姿について言及されており、思いを馳せることができる。それにしても、構成力と文章のレベルがすさまじく、惚れ惚れしてしまう……。2023/07/15
健
21
今まで読んだ物語シリーズの中では1、2位を争う面白さだった。イタリア史に登場する10人の人生を描きながら、イタリア史を感じていく構成。各登場人物の波乱万丈な人生とイタリアの歴史が交錯して、目の前に物語が展開していく。語り口調も軽快で読んでいて楽しい。しかも、この10人、それぞれ異なる10の都市を舞台にしているところが隠し味で、各都市の現在の様子に少し触れることで、歴史の哀愁を感じながら観光案内にもなっているという豪華さだ。物語シリーズのファンだったら必読の一冊だと思う。ファンじゃなくてもお薦めだ。2022/09/11