内容説明
アメリカは民主主義の理念を具体的に政治に実現させた最初の国である。独立宣言の中心「すべての人間は生まれながらにして平等である」は、今なお民主主義国家の道標として輝き続けているものの、人種間の問題や戦争など、建国から2百年余、その歴史は平坦ではなく、生々しい傷がまだ癒えることなくその跡をとどめている。この超大国の光と影を、戦後深いつながりをもって歩んできた日本との関係もまじえて描く。
目次
プロローグ 歴史の入り口で
第1章 新しい共和国の誕生
第2章 国家分裂の危機
第3章 アメリカ帝国の出現
第4章 大衆消費の実現と大恐慌
第5章 アメリカの世紀
第6章 平等への闘い
第7章 超大国の行方
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
78
本書が出て30年以上の月日がたった。アメリカの歴史が独立以来からだと250年に満たないことを考えると、この30年はかなり大きい。しかし本書の代わりとなる「新版」を書ける人を思い浮かべることは困難。中公新書の『物語 ○○の歴史』シリーズの嚆矢ともいうべき本書は、多くの引用とコラム、ご本人の体験談に溢れながら、アメリカ合衆国の歴史の見取り図を見事に描いた名著と思う。著者のアメリカに対する批判心を含めた愛着がにじみ出ている。部分読みを繰り返してきたが今回通読して、その総合的な構想力を改めて感じた。2022/07/26
こばまり
49
91年刊で大統領はパパブッシュまで。300頁に満たない新書で「プライベートなノート」と明言しており、ジャンルとしてはエッセイに分類されるのでは。このざっくり感が広く浅く学ぶ、振り返るには手頃であった。2022/08/18
ころこ
41
91年と大分古いですが、例えば冒頭大学に訪問した日にアメフトの試合があって、熱狂の内に黒人差別の歴史を紐解きつつ歓迎受けた話や、その後の黒人男性との友情の話、日本企業の工場が南部に進出してきた「反撃」に過敏に反応した現地の人の話、アメリカの「史跡」を訪ねて歴史が浅いことを強調する話、宿泊したホテルで差別を受ける話、最後にアメリカの都市部よりも農村に貧困が蔓延しているという「裏の顔」を体験から論じる話など、アメリカ社会の問題よりも、著者の戦後日米関係の屈折が図らずも滲み出ています。オレはアメリカを知ってるん2021/06/13
GaGa
41
アメリカの成り立ちがわかりやすく理解できる本と言うのが案外少ないことを知った。そしてたどり着いた本書は非常にわかりやすく、丁寧に綴られている。八つの生活文化圏の分類には唸らされた。2011/04/04
まさむ♪ね
38
超大国の光と影。自由と平等を重んじる国。アメリカンドリーム。メジャーリーグ、ハリウッド映画、ディズニー、スタバ、フォークナー。なんだかんだ言って一番身近に感じる国。だから彼の国のことはそれなりに分かってるつもりだったけど、ぜんぜん分かってなかった。光しか見てなかった。先住民族インディアンとの対立、奴隷制度をめぐる南北の対立。とりわけこの国の抱える人種差別の問題はあまりにも根が深い。2015/09/16




