内容説明
ヒトラーを取り巻く人々の中でも、ゲッベルスの特異性は抜きん出ていた。軍隊経験を持たず、常に私服で通し、打算と無縁のヒトラー崇拝を貫き、必ず自らを「博士」と呼ばせた女誑し。良識ある市民によって選ばれた政治家でも、伝統的保守主義者でもなく、いわばよくある極石崩れの妄想狂だった、ゆがんだ逆行的モダニストが、宣伝と技術と感覚と行動力のみによって大衆を動員していった経緯を、公刊された厖大な日記によって辿る。
目次
第1部 ルサンチマンを抱く足なえの若者(夢想する高校生;根無し草のように移り気な大学生;なり損ねの文士;政治運動家への変身;ヒトラーかシュトラーサーか;ベルリンへ!)
第2部 ベルリン大管区指導者ゲッベルズ(「ベルリンの戦い」;宣伝戦;選挙、ホルスト・ヴェッセル;勝利の日記)
第3部 第三帝国の宣伝マン(宣伝大臣はすべてを制する;画一化は進む;再軍備・オリンピック・日独伊枢軸;オーストリア併合・バーロヴァ事件)
第4部 戦時下のデマゴキー(世界大戦;総力戦;最後のあがき;ヒトラー、ベルリンに死す)