内容説明
海のシルクロードを経て東南アジア諸国に伝わった上座部(小乗)仏教は、ジャワのボロブドゥール、カンボジアのアンコール・ワットをはじめとする巨大な仏教建造物を生んだ。本書は、南伝仏教伝播の道を辿りながら、今日の東南アジアに重層的に生きる仏教の姿を示すとともに、近代化への途上にある東南アジアの実像を生き生きと伝える。
目次
スリランカ(1987年7月、コロンボの緊迫;スリランカ小史;聖地ケラニヤ;聖地アヌラーダプラ;古都ポロンナルワ;スリランカ宗教の重層性;ペラヘラ祭り)
ベンガル湾を越えて(航海術の発展;カンボジア文化の源;マレー半島の都市国家;タイ、ビルマ文化の源)
ビルマ(1988年、民主化運動の爆発;バゴダの国を巡る;ペグー王朝の跡;ビルマ僧の社会的位置;城下町マンダレー)
カンボシア(アジア的風景の喪失;アンコール・ワット)
インドネシア(シュリーヴィジャヤの謎;ボロブドゥールの仏教遺跡;ジョクジャカルタの遺跡群)
タイ(王家と仏教僧;スコータイ王朝跡;古都チェンマイ;アユタ王朝の五王家;バンコク王朝の創始;現代の仏教的風景)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
5
同じ仏教でも、日本の大乗仏教とは違う宗派で馴染みも薄い南伝(又は上座部。小乗は蔑称とのこと)仏教を、毎日新聞編集委員の著者が1980年代半ばの東南アジア各国に訪ねて回ったルポルタージュ。まず南伝仏教には、その基底にヒンドゥー教の要素を色濃く持っているということがあり、例えばカンボジアやタイでは神と王と同一視する王権として定着した。内戦中のスリランカやカンボジア、軍政下のビルマ(ミャンマー)、経済発展著しいタイ、80年代半ばの状況にはいまや懐かしさもある。僧侶が、巨大な政治勢力であるのは今も変わらないが2016/11/29
Miwa_N2
3
インドからスリランカ、インド洋を経てインドネシア、カンボジア、ビルマ、タイに伝播した仏教遺跡紀行 1980年代、スリランカのシンハラ・タミル民族抗争、クメール・ルージュ、ネ・ウィン政権、動乱する各国の様子が、ジャーナリストでもある筆者の視点から生き生きと伝わってきて、仏教伝来から、この動乱の現在に何世代もの人を経て続いてきた様を感じる本でした、良書 2015/05/12
tkm66
1
30年前の東アジア、と抑えた上で読めば大丈夫!2018/06/04
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