内容説明
戦争が時代を裂き、思想も倫理も根底的に揺いだ20世紀前半、ケインズとハイエクは自由(主義)意識を共有したのではないだろうか。しかし、彼らの知性を育んだミリューが全く異なるように、彼らの打ち立てようとした新自由主義は、拠るべき地盤も目指すべき世界もその性格は対照的であった。にもかかわらず、一方を肯んじ他方を退けることはできないのではないか―。科学と倫理の根本的課題に肉薄する。
目次
第1章 喪われた世界(ムア倫理学とブルームズベリー・グループ;ケインズの回想記にある二つの視線;ツヴァイクの遺書;世紀末ウィーンの真空;自由のユートピアン、ハイエク)
第2章 自由主義と自由放任主義(2つの画法;自由主義の終焉;2つの自由主義;実証主義の興隆と自由の解体;体系としての自由)
第3章 ハイエクの自由論(自由の条件;不在の体系;民主主義論)
第4章 自由のディレンマ(経済の投機化;「市場経済」から「貨幣経済」へ;貨幣経済のディレンマ;自由の技法)
大衆社会の中で
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