内容説明
弁護士社会といわれるほどロイヤーの活動の場と機会が多いアメリカで、ロイヤーはいかにして生れるのか。本書は1981年当時、ロー・スクールのJ・D・プログラムに進む日本人が極めて少なかった頃、正規の3年間のコースを修めるために留学した一企業人の奮戦記である。ジョージタウンという名門ロー・スクールでの厳しい学問修業を卒え、無事司法試験に合格するまでを描いて、アメリカ社会の一断面を鮮やかに浮び上らせる。
目次
プロローグ 3人のロイヤー
ジョージタウン・ロー・スクールへ
第1学年秋学期
第1学年春学期
ワシントンの夢、ニューヨークの夢
お茶の子さいさい
司法試験狂騒曲
エピローグ ロイヤー誕生
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
choku_tn
2
著者の代表作。約20年ぶりの再読。当時より遥かに楽しめた。ソニー在職中にジョージタウン大学ロースクールで3年間学んでニューヨーク州司法試験を受けて1発合格している。ロースクール入学までの難しく煩雑な手続き、入学後の厳しい授業風景、アメリカにおける弁護士の社会的位置付けがきびきびした文面で描かれる。後年の円熟からするとやや生硬だが父君譲りの無駄のない筆捌きは読みやすい。
npt
1
何回も買った本です。2010/04/08
アルビーノン
0
読んでいてとても面白い。1980年代のアメリカのロースクール、そうした制度をほとんどそっくりそのまま持ってきたからなのか、それから30年経った日本の法科大学院と似通っている部分も多いように感じる。「昔と違って今は弁護士になっても仕事がない」なんて記述も。ロークラークの制度や、ロージャーナル・ローレビューといった法学雑誌の実状といったものも書かれていて興味深かった。2017/09/10
k
0
週末に読もうと購入しました。 阿川尚之さんのことは、以前、NHKの爆笑問題の番組で知りました。太田さんとまるで喧嘩のように議論していたのが印象的でした。 この本は、そんな阿川さんがソニーに勤めていた際にアメリカのロースクールへ留学し、ニューヨーク州の弁護士になるまでのお話です。 何度か試験当日の様子が描かれているのですが、読んでいるこちらも思わず緊張してしまいました。 法律に興味ある方、なにかの資格取得に向けてモチベーションを上げたいと考えている方には楽しめる1冊だと思います。2015/11/08
check mate
0
日本のロースクールはアメリカのそれとしばしば対比して論じられ、そして必然的に両者の間の差異が強調されがち。しかし、本書で描かれる授業風景や学生たちの様子からは、「日本とアメリカってそんなに違わないんじゃないか」と思える。無論、広く法曹養成課程まで視野に入れると、制度的な差異が際立つかもしれない。まあ、日本の法曹界の将来はともかく、読み物として単純に楽しいので、映画『ペーパーチェース』とセットでお楽しみください。文章のうまさは妹さんの佐和子女史と同じく父親(弘之氏)譲りなのかもしれない。 2013/10/30