内容説明
弁護士社会といわれるほどロイヤーの活動の場と機会が多いアメリカで、ロイヤーはいかにして生れるのか。本書は1981年当時、ロー・スクールのJ・D・プログラムに進む日本人が極めて少なかった頃、正規の3年間のコースを修めるために留学した一企業人の奮戦記である。ジョージタウンという名門ロー・スクールでの厳しい学問修業を卒え、無事司法試験に合格するまでを描いて、アメリカ社会の一断面を鮮やかに浮び上らせる。
目次
プロローグ 3人のロイヤー
ジョージタウン・ロー・スクールへ
第1学年秋学期
第1学年春学期
ワシントンの夢、ニューヨークの夢
お茶の子さいさい
司法試験狂騒曲
エピローグ ロイヤー誕生
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miki
4
こちらも大先輩から薦められて。筆者のジョージタウンロースクールのJDでの3年間と、その後のNY州司法試験までの体験記。日本のロースクールや就活との共通点があって(アメリカを手本に作られているから当たり前ではある)、そこはアメリカのロイヤーとも共通の経験として話せるなと嬉しくなった。また科目や、その他慣習の説明でアメリカ社会の分析や日本との異同について触れられているのが面白かった。しかしこの時代に、日本育ちでアメリカへ行ってJD3年間を優秀な成績で出て、人脈も築いて帰ってきた筆者はすごい。2025/03/14
うえ
3
「ロー・スクールを卒業した直後に裁判所のクラーク、つまり判事補佐官を勤めるのは、アメリカの司法制度に特有の慣習で、州裁、連邦裁の各レベルで行われる。…最高裁…36人の選ばれた若者たちは、一年の間それぞれの判事と親しく接し、法律の下調べをし、判決文の下書きをする。つまりロー・スクールを出たての若者が、アメリカ合衆国の最高司法機関の判断の方向を、かなりの程度左右するのである。彼らがこのポストにとどまるのは一年間に過ぎないけれども、最高裁クラーク経験者のロイヤーとしての将来は、ほぼ保証されたようなもの」2024/10/03
choku_tn
2
著者の代表作。約20年ぶりの再読。当時より遥かに楽しめた。ソニー在職中にジョージタウン大学ロースクールで3年間学んでニューヨーク州司法試験を受けて1発合格している。ロースクール入学までの難しく煩雑な手続き、入学後の厳しい授業風景、アメリカにおける弁護士の社会的位置付けがきびきびした文面で描かれる。後年の円熟からするとやや生硬だが父君譲りの無駄のない筆捌きは読みやすい。
npt
1
何回も買った本です。2010/04/08
アルビーノン
0
読んでいてとても面白い。1980年代のアメリカのロースクール、そうした制度をほとんどそっくりそのまま持ってきたからなのか、それから30年経った日本の法科大学院と似通っている部分も多いように感じる。「昔と違って今は弁護士になっても仕事がない」なんて記述も。ロークラークの制度や、ロージャーナル・ローレビューといった法学雑誌の実状といったものも書かれていて興味深かった。2017/09/10
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