出版社内容情報
物理学者で、独自の発想で知られる著者が、理科系の研究者・技術者・学生のために、論文・レポート・説明書・仕事の手紙の書き方、学会講演のコツを具体的にコーチする。盛りこむべき内容をどう取捨し、それをどう組み立てるかが勝負だ、と著者は説く。文のうまさに主眼を置いた従来の文章読本とは一線を劃し、ひたすら・明快・簡潔な表現・を追求したこの本は、文科系の人たちにも新鮮な刺激を与え、・本当に役に立った・と絶賛された。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
171
再読した。理科系の作文技術と書いてあるが文系も読んでおいた方がいいと再認識することが出来た。文章を書くという行為は文理問わず必要なことである。特に自分の書いた文に読者がいる際は、なおさら推敲が必要となる。この本はまさに文章を書く際のポイントを書いた本である。特に文章のレトリックというかは、むしろ文章全体の構成や意見と事実の違い、曖昧な文章を書かないことに重きをおいている。文章の引用部分が理系の話が多く、読みにくい部分があるが、それを差し引いても文系にも勉強になる本であると感じた。2020/06/11
あすなろ
97
いきなりチャーチル・メモから始まるこの本は、僕は社会人で私大文系の人間であるが、インパクトある本であった。読み進めると、著者の木下先生は、昔の大学院時代の恩師に見えてくる。そうすると、件のチャーチルはさしずめ社長か。途中に引用されるドナルド・キーンやレゲットは、部課長か。閑話休題。まずは、日本語特有のぼかし言葉を止めるように努めるべし。なかなか背筋伸びて、一読の価値ある本であった。2017/01/18
おつまみ
92
理科系出身のみならず、文系でもオススメされることがある本。文章の書き方、ブログの書き方などの本で紹介されることが多く、いまだに人気なのは、それほど本質的なことが体系的に描かれていることが要因になっている。論文を書く時に重要なことは文章を書く時にも大切になってくる。文章作成術としては、しっかりとした前提知識が必要になり、それをいかにしてアピールするかが問題となる。この本を読むだけで文章術のことはある程度わかるようになる。一番なのは、優秀な先輩の論文を数多く読んで、いい部分を真似ることだと思う。2021/06/06
molysk
74
理科系の仕事の文書の目的は、情報と意見の伝達である。理科系の仕事の文書を書くときの心得は、主題について述べるべき事実と意見を十分に精査し、それらを、事実と意見とを峻別しながら、順序良く、明確・簡潔に記述すること、と要約できる。本書は、筆者の主張する理科系の作文技術の、よい実例である。学生時代以来の再読で、現在の仕事の文書で至らない点があることに気づいた。例えば、論理の流れや、文と文の結びつきは明確か。また、本書では除外された心情的要素は、人とのつながりに価値がある仕事の文書では、また必須のものである。2021/07/22
ななつ
67
1報告書は要点を短い歯切れいいパラグラフにまとめろ。2報告では複雑な要因分析や統計は付録にせよ。3正式でなく見出しだけのメモを口頭で補う方がいいことが多い。4持って回った言回しは止めて省き、一語で言い切れ。思い切り短くパッと意味が通じる表現にしろ。くだけた表現も構わない。一見荒っぽい表現になっても時間節約でき、要点だけを簡潔に述べる訓練自体が、自らの考えを明確にするために役立つ。2017/03/09