感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Arisaku_0225
12
ゲーム作品の登場キャラクターやCoCのシナリオ等でよくモチーフにされる世界各地の神話.また,天の岩戸や因幡の白兎といった日本人なら誰もが知っている神話だが,そもそも「神話」とは何かということは考慮されず,名前やストーリーといった表層部分だけが一人歩きしている状態に感じる.神話とは何かという問いに答えるためには「神話がどのように生まれたか」「神話がどのように語られてきたか」「神話とはどのようなものがあるか(=分類,類型)」を解きほぐす必要がある.本書はそういった神話という氷山の水面下の部分を探るという学問→2022/12/07
羊山羊
7
神話を、「原古における一回的な出来事によって特定の自然現象や文化現象を説明し、基礎づける説話P65」として、神話・伝説・説話の違いと神話の初歩的な分類に挑む。自分の知りたい事とマッチングせずにモヤモヤしながら身に入らずの読了。本自体は神話学から先へ迷わないようにしてくれる道しるべ的な1冊でした。2022/03/27
p.p.
7
客観的な視点から書かれた神話学についての概説書であり、ページ数は少ないがかなりの情報量を含む。神話学の歩みから始まり、神話の定義と分類に主眼を置き、全ての神話は基本的に起源神話の性質を持っているとして、宇宙起源論、人類起源論、文化起源論の3種類に分けて世界中の様々な神話を紹介している。また神話と儀礼とはきわめて密接な関係にあるとし、関連する儀礼についても説明している。また神話が生まれる背景の文化、社会についても論じている。2011/04/25
amanon
6
他の人も述べているが、内容は概ね興味深かったものの、語り口が堅苦しく、若干読みづらかったというのが正直なところ。多くの人にはとっつきにくいテーマなので、そこは考慮してもっと易しい語り口にして欲しかった気がする。それはともかくとして、神話といういわば人類普遍なものであるのにもかかわらず、同時に非常にとりとめのない対象を体系化するという試みがいかに困難なものであるかを痛感。それと同時に文明化の中で多くの神話が失われ、しかもそれが現在進行形であると考えると、神話学が課せられた使命が余計に困難かつ重大に思える。2017/02/06
No Nis
5
なかなかおもしろかった。「入門」と銘打つにふさわしく、神話学について非常に広くトピックや先行研究が紹介されている。どれか一つを取り上げて深堀しようとすればそれだけで一冊本が書けそうな具合だ。例示も豊富で、大量の実例が紹介されている。ただ、生の材料がでーんと与えられた具合でそれをいかに消化するかは読み手にかかっているような気がした。2.5/52017/07/02