感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
isao_key
9
馬賊が日中戦時に、いかに暗躍したかが書かれている。馬賊とは、本来は中央権力の不備と腐敗を要因として発生した民衆的自衛組織に根を下ろした武装集団を指した。中国北方地方に特有のものだという。土匪も、馬賊のように縄張り、仁義、親分子分関係といった侠客的要素を多少は持っているので、この点だけをとらえて、土匪と馬賊、あるいは青帮と馬賊を混同しているむきがあるが、それぞれ本質を異にする。中国には古くより秘密結社が社会の裏面にあり、常に大きな勢力を持って動いていたが、最も影響力があるのが青帮で、300年の歴史を持つ。2016/02/28
ユーキー・ノウェイン
1
馬賊の歴史から、日露戦争での日本との協力関係、土匪扱いされた孫文の話、 軍閥とそして日本人の馬賊の長になった伊達準之助や小日向白朗の登場とそれ以降の話 「馬賊」がどのように居て実際にどうだったのかが書かれている また馬賊以外には、武装宗教結社である紅槍会や大刀会のことも書かれ、大刀会の護符のイラストがあり興味深い。 青幇をアメリカのマフィアと例え秘密結社というよりも、 賊、ギャング扱いされていた また1930年代に入ると共産主義者の匪賊である「共匪」も出てきており、金日成達にも軽く触れられた2013/05/06
すがし
1
著者の共産党賛美の姿勢が、逆に馬賊という「歴史」を冷静に客観的に語らせるという構図がなんとも皮肉。ともあれ歴史の影に消えつつある馬賊について手軽に学べる得がたい入門書であることは間違いない。2011/06/10
みつか
0
中国馬賊の成り立ちを、中国国内の政治や社会を踏まえて教えてくれ、その後の満州国建国、日中戦争へと、いかに馬賊が裏舞台で活躍していたかが分かる。共存共栄、五族協和(日韓満蒙漢)を目指す満州国、日本関東軍、蒋介石国民党軍、毛沢東八路軍が入り乱れ、三方それぞれに手を貸す馬賊、その馬賊の頭目には日本人も多数おり、また清朝の王女や女性達も姿をみせて闘争に加わる。著者渡辺龍策は5歳の時に袁世凱に抱かれてあやされた際、肩骨を脱臼したという。まさに時代の渦中にいたその人なのである。2017/06/18
鰆
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この身一つで中国へ、浪漫だなー。2010/11/12