出版社内容情報
かつて中国では、官吏登用のことを選挙といい、その試験科目による選挙を・科挙・と呼んだ。官吏登用を夢みて、全国各地から秀才たちが続々と大試験場に集まってきた。浪人を続けている老人も少なくない。なかには、七十余万字にもおよぶ四書五経の注釈を筆写したカンニング襦袢をひそかに着こんだ者もいる。完備しきった制度の裏の悲しみと喜びを描きながら、試験地獄を生み出す社会の本質を、科挙制度研究の権威が解き明かす。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
inami
40
◉読書 ★3 NHKドラマ『蒼穹の昴』(2010年9月〜放送)における「科挙」のシーンが印象深く、もう少し詳しく知りたいと思っていた。浅田次郎の「蒼穹の昴」は2006年に全4巻読んでいたのだが、2009年に再度読み直して北京(旅行)に向かった思い出がある。中国では官吏登用のことを「選挙」といい、試験には種々の科目があるので、科目による選挙、略して「科挙」ということで、制度は1400年も前に始まった。科挙はだれでも受けられる(浪人続きで老人も)が一般人には高嶺の花。2万人もの人が挑戦する何とも凄まじい試験だ2022/10/20
Tomoichi
36
隋代に始まり清代末まで続いた官僚登用システム科挙、最終形の清代の科挙のプロセスを使って説明。科挙に使われた労力・知能を他に使っていたら支那の歴史は変わっていただろう。教育は強制と記憶と思っているけどさすがにこれは無駄遣い(笑)2020/03/04
NORI
22
管理登用試験である科挙の成り立ちから衰退までが詳細に描かれている本。カンニング用の豆本とか手の込んでいるものがあったり面白かった。読む前は読み終えられるかと思いましたが、徐々に文章に惹き込まれて読み終わりました(´ー∀ー`)他の方のレビューを拝見しますと「蒼穹の昴」に科挙が出てくるみたいなので読んでみようと思います!2022/01/16
NY
22
「教育なき超難関官吏採用試験」である科挙の実態を客観的に描写したとのことだが、生々しいエピソードがふんだんに盛り込まれ、まるで実際に自分が受けているかのような臨場感だ。無味乾燥になりがちな内容だが語りが上手く引き込まれた。宮崎先生の授業は面白かったのではないかと思う。結論では科挙と日本の受験地獄や終身雇用が重ね合わされているがやや図式的か。それよりも、科挙に象徴される中国の文官主導の伝統(徹底)が、西洋などと異なり、クーデターや軍の台頭を防いでいたという指摘の方が印象に残った。2019/10/11
Dash-Checker
21
文庫で読了。文章が素晴らしい。科挙が現実政治にはあんまり役に立ってないことを知って驚き。清朝の科挙が中心でそれ以前のものは流す程度。2022/01/19
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