出版社内容情報
考えてみれば、人に「化粧をしていますか?」と訊くのは「大便したあと尻を拭きますか?」と訊くのに似ている。
「御社にスッピン社員がいる」という取引先の一言から、塗装会社の営業部員・中村に、「スッピン女子捜し」の密命が下る!
あの手この手で同僚たちの化粧事情を探る中村。しかし、彼女には秘密があった。
実は中村自身が、人生で一度も化粧をしたことがないスッピン女子なのだった――。(ノーメイク鑑定士)
働くみんなの日常は、事件で溢れている。
気鋭の著者が綴る、新時代のお仕事小説全四篇!
【目次】
内容説明
働く人々の悲喜こもごもを鮮やかに切り取る全四篇。しんどい毎日を吹っ飛ばす、労働讃歌(!?)短篇集。
著者等紹介
石田夏穂[イシダカホ]
1991年、埼玉県生まれ。2021年「我が友、スミス」が第45回すばる文学賞佳作となり、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
hiace9000
114
石田夏穂×「お仕事」が面白くならないわけがない。会社における「当たり前」や「マチズモ」へのアンチテーゼとも読み取れるシニカル目線は、「笑い」の土踏まず部分をグリグリと抉るように刺激し続け、やがて中毒性と快楽性を併せ持った読書加速機関を作動させる。建設業界、外食チェーン企業、海運輸送業、塗装用品メーカ―と、四短編の舞台となる会社自体も石田さんらしいマッチョなこだわりが。冒頭『フットブレイク』から笑い続け、よくぞそこに隠されていたニッチな笑いの種を発見してくれました!と唯一無二なる石田観察眼を称賛したくなる。2026/04/24
ケンイチミズバ
60
4編ともつまらなかった。サラリーマンを長くやった自分の経験の方が小説を上回るだろう。わが社も、視線の先にはパワハラ・セクハラ・サステナビリティ・ダイバーシティ・ノー残業デー啓発ポスターだらけ。この新しい価値観もほどほどにしとかないと競争に勝てない豆腐のメンタルの若者だらけになっちゃうね。昔は、女はズボンを履くなスカートを履け、化粧をしろなどと怒鳴る役員もいた。まあ、酷い。酷かった。で、お得意先からノーメイクの女性営業がいるとクレームがあり、それが重要案件って、忖度だけは今も昔と変わらないということか。2026/04/17
えんちゃん
44
これぞ石田さんのお仕事小説!な短編4つ。社屋建替の為ユニットハウスで巻き起こるスリッパ騒動、外食チェーン店のガリガリ元店長とガタイ新店長、働き方改革の運送会社で残業警察に抗う男、塗料メーカーの新人マナー研修を行うすっぴん調査請負女。意味不明で摩訶不思議な社風としきたりに翻弄されるザ・会社員たちの脳内つっこみの可笑しさよ。どれも若干スッキリ終わらないところがまたリアルで笑える。ところで私すっぴんなんですという社会人女性へは何と答えればよいのかいつも困ってしまいまいます。2026/04/27
ぽてち
32
図書館で予約した本を受け取ったときそのあまりの薄さ(本文136ページ)に愕然とし、帰宅して本を開いて4篇も収録されていることに驚愕した。短篇集というより実質はショートショート集だ。収録されているのは「フットブレイク」、「未経験の男」、「我らがDNA」、「ノーメイク鑑定士」の4篇。どれもサラリーマンを主人公にしたワンアイディア小説で、会社や社会から理不尽なルールを押し付けられ心密かに憤る姿にペーソスが漂う。短いなりにまとまってはいるのでこれはこれでありかな。でも石田さんの長篇小説をいつか読んでみたいと思う。2026/04/19
ちさと
30
軽快な小話4篇からなる短編集。初読み作家さん。最初の「フットブレイク」は、横文字が多すぎてなんだかなーと思いつつ、なんだかよくわからないまま終わった。3話目、4話目と読み進めるうちに、少し面白く感じてきた。表題「ノーメイク鑑定士」は、スッピン特濃ソース顔の主人公が、職場に迷惑をかけているスッピン犯を探すというお話。全話に共通するのは、オフイスのどうでもいいようなことに焦点を当て、個性的な主人公が飄々と切り抜けること。読後にはなんだかモヤッとしたような、同時にスカッとしたような気持ちが残る、不思議な1冊。2026/04/20




