地上の楽園

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地上の楽園

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  • サイズ A5判/ページ数 480p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120059599
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

取り返しがつかない。何もかも。北朝鮮に来たときから――。



在日朝鮮人帰還事業。1959年に始まったそれは、人類史上最悪の「大量殺戮」への序章だった。

大阪に暮らす二人の若者、孔仁学と玄勇太が経験する「地獄」を通して、日本人の差別感情と、政府・マスコミらが犯した大罪に迫る。



エンターテインメント小説界を牽引する著者が、戦後最大のタブー「外国人問題」に切り込んだ、今最も読まれるべき社会派巨編。


【目次】

内容説明

1959年大阪―。在日朝鮮人への蔑みと暴力がはびこる街で、復興を遂げ平等を実現し「地上の楽園」と称される北朝鮮への「帰国運動」が過熱していた。高校生の孔仁学は、ヤクザの抗争に巻きこまれ窮地に立つ親友・玄勇太に「帰国」を勧める。北朝鮮行きを決めた勇太だったが、帰国船内の食事の貧弱さや寝床の汚さに、「楽園」への違和感を覚え始め…。個性異なる二人の青春を活写し、今なお続く差別の源流と、流転の果ての希望を濃密に描く。慟哭必至のエンタメ大作。

著者等紹介

月村了衛[ツキムラリョウエ]
1963年大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒業。2010年『機龍警察』で小説家デビュー。12年『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、13年『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、15年『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、19年『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

168
月村 了衛は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 本書は、北朝鮮帰還事業、国家的犯罪、死と流血の茶番劇、現実社会の超ディストピア小説でした。この世に楽園はありません。楽園を騙ったら、それは全て詐欺です。トランプ大統領が、メキシコやコロンビア等の内政干渉するのなら、いの一番にCIAを使って北朝鮮の金 正恩を暗殺してもらいたい。 https://www.chuko.co.jp/tanko/2025/10/005959.html2025/11/05

いつでも母さん

154
何度もこれはエンタメ小説、フィクションだよねって頭の中で黄色信号が点滅していた。この世界のどこに楽園があると言うのだ!今ならそう言える。今だからそう思えるのだ。月村了衛ここにありの読後感。第一部は高まるザワザワ感と押し寄せる不安。第二部はもうダメ。あかん。やばい。心拍数が上がり、ドキドキが嗚咽になり、逃げてー!悲鳴と号泣に覆われるのだ。そしての第三部。邂逅と言うのか会うべくしての再会が重い。怒りや、何か得体の知れない黒く大きなうねりに吞み込まれた数多の人々の慟哭が消えない。凄いのを読まされた感じだ。2025/11/10

ちょろこ

116
なんて地獄で、なんて力強い一冊。今まで断片的に見知っていた歴史、実情が今やっと一つに繋がった気がする。在日朝鮮人帰還事業、楽園を求めてやまない気持ち、その一因として蔓延っていた差別が大きく心を抉る。日本政府も支援した甘い蜜で招いた先は幸せ畑ならぬ地獄畑。第二部は玄勇太と共に苦しみ、悔しさを感じ涙は溢れっ放し。そして地獄を見たからこその人としての力強さが胸に迫る終幕は圧巻。憎しみをどうぶつけ、過去に蓋をせずに言葉で未来へ繋ぐ大切さ、諦めない姿が心熱く伝った。全てが真実か…闇が渦巻く日本の裏の顔の怖さを思う。2025/11/20

あすなろ@no book, no life.

113
帰還事業・帰国事業を描き切った圧倒圧巻の作品。月村氏の作品は採り上げられるテーマによって読む事が最近多いのであるが、これも期待を裏切らない、否、読書中は或る意味期待を裏切って欲しいと願う位、地上の地獄を描き切っている。そして本書の目的はそれだけではない。元総理の親の世代から続く本事業への謝罪が無き事やそれを糊塗し子の世代の歴史的とされている英雄視感の打破。それだけではない当時の本事業への扇動に対する怒りが込められている。是非、知らぬ方には知って頂きたい事であり、知っている者にも新しき事が知れる作品であった2025/11/30

ゆみねこ

80
圧倒された。1959年「地上の楽園」と称される北朝鮮への帰国運動が過熱する中、大阪に住む高校生の孔仁学は在日朝鮮人への差別に苦しみ、帰国運動を周囲の同胞たちに勧めていた。ヤクザの抗争に巻き込まれた幼なじみの親友・玄勇太にも「帰国」を勧め、玄の家族は北へ。【楽園】の真実は言葉に出来ないほどの凄惨さ。二人の若者が歩んだ過酷な人生。甘い言葉で【帰国】を煽り、責任を取らない政治家やマスコミが腹立たしい。これは多くの方に読んでもらいたい1冊、お薦めです!2025/12/04

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