出版社内容情報
2013年12月にユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」。日本が世界に誇るべきものと言われるが、では現実の家庭ではどのような「和食」が作られているのか。20年にわたって食卓を調査してきた著者によると、和風の煮物、和え物、煮魚はほぼ“絶滅危惧種”であり、白いご飯やみそ汁までも消えつつある。
盛りつけがラクで洗い物が減るからと「お子様ランチ」さながらワンプレートで食事をする大人たち、果物やトーストした食パンを「硬い」から食べない子どもたち……。
413人の主婦へのアンケート、8673食・1万5000枚以上の食卓写真、そして、700時間以上の詳細な聞き取りから、バラバラの好みや都合、気分を尊重する、“新しい家族”の姿が見えてくる。
『残念和食にもワケがある 写真で見るニッポンの食卓の今』に増補の上、改題。
目次
第一章 まだ要るの? ご飯とみそ汁
白いご飯は味がないので苦手
米の朝食 4人に1人?
白いご飯を出すと面倒
みそ汁はあってもなくてもいい
第二章 さよなら和食メニュー
「一汁三菜」って知らない
主食重ねの満足感
消える「さしすせそ」と和風調味料
給食で初めて煮物を食べる子どもたち
魚料理は週1回
第三章 暮らしに和食は馴染まない
箸が消えていく
マグカップのみそ汁・洋皿のご飯
お子様用プレートで食べる大人たち
人数分椅子がない家庭
第四章 和食の心より私の気分
夏の鍋料理、冬の素麺
年中行事食トップは「恵方巻き」
鍋ブームと「和食の心」の衰退
「お祝いの日に寿司」は昔の話
第五章 好きなものを好きなときに
家族の好物に和食なし?
酒の肴にカレーライス!?
「流し込みながら食べ」と和食材の衰退
第六章 和食遺産は相続放棄?
受け手次第の「料理の伝承」
結婚前、お米を研いだこともなかった
二世帯同居の交わらない台所と食卓
増補版対談 新井紀子×岩村暢子