出版社内容情報
ファティオータや海賊ネルヴァーリと別れ、帝都に戻ったシルッカとリンゼイ・ヴォー。二人は大陸全土で行われている苛烈なサクォーリアン狩りに衝撃を受ける。リンゼイは父帝オハリオ二世の暴走を止めるため、西海の覇者ウィゴネール王国に協力要請をするが――。シルッカはファティオータと和解することができるのか? リンゼイ・ヴォーは父帝との決着をつけることができるのか? 壮大なファンタジー、堂々の完結!
内容説明
皇帝勅命により大陸全土で始まったサクォーリアン狩りと、西海の島々への侵攻は、世界の分断を深めていく。竜騎士の在り方に悩むシルッカ、父帝との対決を迫られるリンゼイ・ヴォー、そして窮地に陥るファティオータ。決戦が近づくなか、二人と一匹が選ぶ道とは―。人と竜、陸の民と海の民。それぞれの矜持を懸けた戦いの行方は?人と竜の絆が紡ぐ傑作ファンタジー。
著者等紹介
黒川裕子[クロカワユウコ]
1979年、大阪府生まれ。作家。京都外国語大学学士、エディンバラ大学修士。2010年「吟遊翅ファティオータ」(刊行時『四界物語1 金翅のファティオータ』に改題)で第6回C★NOVELS大賞を受賞しデビュー。17年『奏のフォルテ』で第58回講談社児童文学新人賞佳作入選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジジ
3
両親を失った新米騎士シルッカと彼が初陣で拾ったトゲウオの幼生、そして新米騎士のオファンである帝国の皇子が大きな渦に巻きこまれ、現実と向き合っていくなかでそれぞれの成長していく様を描いたファンタジー。 上巻は序の口だと言わんばかりの、大きな出来事に彼らを巻き込んでいき、現実の残酷さや絶望感を与えてきますが、それらを乗り越えた先には希望という光が輝いているのかもしれません。2024/09/14
黒目ソイソース
1
正確には再読ですが何しろ15年前ゆえ…でも下巻はかなり覚えていて、なによりクライマックスのくだりは初めて読んだ時と、ほとんど同じように感情が激動した。覚えていても、感動というものは変わらない。めでたしめでたしもいいけど、今からまたすべてが始まるよ!って終わり方って凄く好き。そもそも続編か番外編があるんじゃないかと期待してたんですが…なにしろ登場人物が魅力的なので。なんやかや、シルッカは流されてるようで頑固な強い主人公だし、俺様とツンデレで大渋滞だし、謎は残されまくってるしなあ2025/07/12
碧子
1
橋賢亀さんの絵が好きで装丁画のお仕事として流れてきたのに興味を持って読んだ。表現が美しく想像力を掻き立てられる。下巻は上巻以上の速さで一気読みしてしまった。さすがC★NOVELS発のファンタジー、裏切らない。どこか既視感もありつつ全く新しい世界の創造がなされている。特徴として耳慣れない音の組み合わせを人名や地名に使っているので、下巻に入っても時折「シルッカって誰だっけ?」となることすらあって苦労した。主要人物の結末は一部首を傾げるものもあったが概ね大団円。余韻に浸りつつ続きを想像したくなる終わり方だった。2024/10/16