出版社内容情報
この世界を、私はひとりで生きたい――。わかり合えない母親や、うざいクラスメート。誰とも関わらずひとりで生きたい、人生の〝スヌーズ〟を続ける相内蒼、高校二年生。その出会いは彼女の進む道を照らしはじめた――。北の街・札幌を舞台に、臨場感溢れる筆致で激しく記憶と心を揺さぶり、光溢れる傑作青春小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
200
乾 ルカ、5作目です。本書は、当初イメージしていた内容と良い意味で異なる夜間街光調査官母娘家庭乳癌弱小高校野球部青春恋愛譚の感涙作でした。乾 ルカのMyBest、今年のBEST20候補です。 https://www.chuko.co.jp/special/akari/2024/11/15
モルク
114
シングルマザーの母と暮らす蒼の小学4年生から高校卒業まで。母は友人と子供食堂のNPO法人を立ち上げ仕事に忙しく家事は蒼まかせ。そして蒼はひとりが好き。同級生米田君の父の仕事夜間街光調査官に憧れる。理解あるように見えて自分の考えを押し付けてくる母、あなたのためと言いながら自分のためじゃないの?と不満を持つ蒼にひどく共感。自分は教育しているつもりでも娘をひどく傷つけることに母は気づかない。わかるよ蒼。しかし別れの朝雪かきをしている母にしんみりしてしまった。米田君と友人の冬子の存在がありがたかった。2024/10/22
のぶ
108
乾さんの新作は、青春、恋愛、成長、家族、お仕事等、いろんなものが詰まった作品だった。主人公は相内蒼。わかりあえない母親や、何でも勝手に決めつけたがるクラスメート達とは関わりたくないと思っている。そして本作のキーワードは「夜間街光調査官」幼馴染みの米田の父がしているとされる仕事。全体を通して創生高校に進学した蒼の学園生活が描かれているが、米田が所属する野球部の描写がとても熱かった。蒼は家庭内でも母親の病気の問題を抱えていて、そちらの方も読み進むに連れ気になった。蒼の将来を応援したくなる秀作だった。2024/09/13
ゆみねこ
87
誰とも関わらずひとりでいることに心地よさを感じている高校生の相内蒼。起業家の母・めぐみは理解ある母親と世間には見られているらしい。しかし、この母親には全く共感出来ず、雪かきの大変さが理解出来るから特に母親には怒りを覚えた。母からの自立を目指し、歩き出す蒼。人に興味のない蒼に冬子と米田という存在がいて良かった!2024/11/06
Ikutan
81
「俺のお父さんは、街の灯りを数える仕事をしているんだ。」小学4年の時にクラスメートの米田君に教えてもらってから、誰かといると息苦しさを感じ、一人でいると落ち着く蒼が、心の拠り所にしているのは『夜間街光調査官』という仕事だった。北海道を舞台に、蒼の小学4年から高校卒業までを描いた青春小説。シングルマザーの母親との関係や弱小野球部の活動など盛り沢山。悩んだり迷ったりした時に掛けてくれる米田くんの言葉がいい。蒼の思いを受け止めてくれる冬子に出会えたのも良かった。完璧な親なんて居ない。ラストの一行に胸を突かれた。2024/10/05