出版社内容情報
浅草の薬種問屋で火事が起き、二体の骸があがった。定町廻同心の惣十郎は犯人を捕らえるが、黒幕の存在が明らかに。罪を見つめて、人を憎まず。捕物帳の新たな傑作が誕生!
内容説明
罪を見つめて、人を憎まず―その男、服部惣十郎。浅草の火事で二体の骸があがった。同心の惣十郎は犯人を捕らえるが、指示役の足取りは掴めない。一方、町医者の梨春は惣十郎の調べを手伝う傍ら、小児医療書を翻訳刊行せんと奔走していた。事件を追ううちに、惣十郎がたどり着いた驚愕の真実とは。信じるもののため、あがく先に正義はあるのか―。改革の嵐が吹き荒れ、疫病が日常をおびやかす江戸後期。捕物帳の新たな傑作誕生!
著者等紹介
木内昇[キウチノボリ]
1967年、東京都生まれ。2004年『新選組 幕末の青嵐』で小説家デビュー。11年に『漂砂のうたう』で直木賞を、14年に『櫛挽道守』で中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、親鸞賞の三賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
170
もう少し、もう少し・・新聞掲載だったのでちと長い(汗)それでも飽きさせず途中で止められない面白さだった。続きが読みたい。お雅が好きだから、このままなのかじりっじりしちゃう。惣十郎の母上のその後も気になるし、梨春も完治も好い。佐吉と崎岡のキャラも面白い。あゝ、もっと読みたい。それだけなのだ。2024/07/03
のぶ
152
木内さんは出る本が傑作ぞろいなので、待ち遠しく読んだが本作も素晴らしい作品だった。薬種問屋の火事からストーリーは展開する。そこで見つかった二体の骸。二人の身元は?犯人は?目的は?物語の本筋は捕物なのだが、それだけに留まらず、人々を苦しめる疱瘡と、それを治療、予防しようとする町医者の話が描かれていて、物語に厚みを持たせている。主人公の服部惣十郎は、出世のための手柄を求めず、罪人を捕まえるより、罪の芽を摘むことをよしとする人物。他の人物設定も良くできていて、話の流れも上手い。大長編だが飽きる事はなかった。2024/06/23
fwhd8325
144
やっぱり間違いなかった。木内さんの作品は安心して読めます。この作品も、これだけの長編ですが、リズムあって、とても読みやすかったです。こんな感想でいいのかと思いますが、登場人物がみんな動いています。目の前で生活しています。これはすごいことだと思います。見方を変えれば、読者である私が、世界に入っていると言うことです。2024/11/19
タツ フカガワ
140
木内さん初の捕物帖は、老中水野忠邦が綱紀粛正や奢侈禁止を進める天保年間が舞台。北町奉行所の定町廻り同心服部惣十郎は「人が罪を犯す前にその芽を摘め」が信条。その彼が手掛けるのは薬種問屋の放火殺人に始まり、霊感商法、実母殺害事件などで、謎解きの妙味はもちろん、物語に絡む各登場人物の家族模様も読みどころ。ただ、お雅の想いが宙ぶらりんで終わったのがちょっと残念ではありました。2024/06/18
reo
116
木内昇さんの新作。前作「かたばみ」は戦中戦後日本中が貧乏だったあの頃を、なさぬ仲の親子の情を、朗らかに描いた秀作だった。で今回はガラリと変わり捕り物帖。物語の取っ掛かりは薬種問屋で起きた火災と焼け跡に残された番頭と店主の焼死体。その謎を追ってゆくと、天保の改革を巡る幕閣内での権力争い、また種痘療法などで反目していた漢方医学と蘭方医学の諍い等々。木内さんの著書は同じジャンルがないので、新作がいつも楽しみ。お薦めです😄2024/09/28
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