出版社内容情報
「情けない人生でした」――器用に生きていた後輩の死、海で溺死した父……岸本佐知子氏、能町みね子氏推薦!忘れられない喪失の記憶を炙り出すエッセイ集
内容説明
後輩の自死、絶叫の葬式、残高3万円で死んだ父―
目次
針中野の占い師
父の死、フィーチャリング金
こりゃ死んどるね
じゃあ明日
永遠の保留
ごめんね
101まで生きる/生を奪われる
人生はまだ動いているわけだから
天国からの着信
気づけなかった記憶
種子島へ
完結はしない
対談 岩井秀人×前田隆弘―死なれちゃった経験を語ること
著者等紹介
前田隆弘[マエダタカヒロ]
1974年福岡市生まれ。フリーランスの編集者・ライターとして、インタビューを中心に精力的に活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
143
人の数だけ死はあり、人の数だけその死の受け止め方もある。死は平等だけれども、その過程はそれこそ千差万別。諸行無常。『情けない人生でした。』くぅ・・まだ分らないじゃないかと思っても、それは本人じゃないから言える言葉だ。書いて心が整理出来たり、話すことで気持ちが落ち着いたりもするよね。確かなことは時間が必要だってことだ。それもまた生きてるからこそ・・そんな読後感。2024/06/18
machi☺︎︎゛
108
作者の身近な人や家族が亡くなった経験をノンフィクションにまとめた一冊。事故死や自殺も含めこんなに多くの人が周りで亡くなりそれを毎回見送ってきた作者さんの辛さもすごく伝わった。タイトル通りで死なれちゃったあとで、色々後悔ややり切れなさがあるけど残された方はそれでも生きていかなければならない。人が亡くなる話ばかりだから明るい気持ちにはなれないけど、何か頑張って生きようと思えた一冊。2024/07/22
fwhd8325
83
著者前田勝弘さんは、私より一世代以上若い。繊細な方が周りに多くいらしたのかなと想像もします。生きている時に…と後悔することもあるだろうけれど、この著書はすべてが湿っぽいものではなく、むしろタイトル通り、死なれちゃったあとでの思いを自身で消化するかのように感じます。それは辛いことだと思います。軸になる後輩Dさんのこと、Dさんのご家族。それは強い生命力を与えてくれるようにも感じます。雨宮さんへの思いは少し辛い。2024/09/08
ケンイチミズバ
81
ウクライナやパレスチナの状況を動画で見ているからかも知れない。事故死も自殺も含め日常の死を見たような気がした。死んだ人への責任については考えさせられる部分もあった。パニック状態の女性に責任を感じ過ぎてはならないと説得した元カレの両親の正しい判断。当たり前だけど正しい。転落した女性を見ていた警備員、おそらく無責任なアルバイトのありゃ助からんなと口にした態度の酷さ、救助隊を呼ぶ必要があったのに救急車しか呼ばなかった昭和のいい加減さ。事故死した父親の預金残高3万円の呆れ。身近な死がルポ的にまとめられている。2024/04/09
たかこ
74
「死なれちゃったあとの気持ちの経年変化」「死をライトに、カジュアルに語る」ことはなかなかできない。どうしても社会風潮的に死はタブー視されていて、話しちゃいけない空気がある。他人にそんな重い話をしてもいいのかな?という気もするし、聞かされる方も重たいというか、何かを背負わされる感じになるものね。だからかな、私が今かかわっているグリーフのピアサポート会とか、分かち合いの場が必要とされているのだと思う。こういう場だったら安心安全に話をすることができるしね。ナラティブ的な前田さんの死に纏わるお話が読めた良かった。2024/10/22