出版社内容情報
離婚して一年。荒んだ生活を送っていた幸彦は、ある「学校」を紹介される。そこには様々な事情を抱える生徒たちが通っていた――。
内容説明
離婚して一年。荒んだ生活を送っていた幸彦は一念発起し、山の上にある「学校」に通い始める。そこには様々な事情を抱える生徒たちが通っていた―。忙しすぎて“生活”が後回しになっている、大人たちへの応援歌!
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
1969年大阪府生まれ。1993年『凍える島』で鮎川哲也賞を受賞し、作家デビュー。2008年『サクリファイス』で大薮春彦賞を受賞、本屋大賞2位に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
360
家事という2文字。とても、意味するものは幅広い。100人100様の捉え方があるし、時間の流れと共に変わりうる。その時々の、自分だけでなく、周囲の人の状況にも影響される。ただ、そこに気づくのかどうか、思いを向けることができるかどうか・・・なんだろう。改めて、家事の2文字を考えてみると、「家の事」。日々の暮らしに関すること。だからこそ、気づき難いし、そんなものだろうと思ってしまう。「山の上の」というのが、キーフレーズかもしれない。少し、距離(時間)を置いてみること。2024/05/19
ムーミン
325
軽いお話の中しっかり考えるべきことが存在している内容でした。2024/09/17
Karl Heintz Schneider
317
妻から離婚を切り出され、男やもめになった幸彦。食事はコンビニ弁当、部屋はゴミの山。そんな彼を見かねた妹が家事学校へ行くことを勧める。そこで様々な事情を抱えた男性たちと触れ合い、幸彦の中の何かが変わってゆく。そしてそれは元妻にも伝わって「『幸彦、ちょっと変わった?』鈴菜が楽しげに笑った。 彼女がそんなふうに笑うのをひさしぶりに聞いた気がする。」男だけの料理教室は探せばあるだろうが家事全般を教えてくれる場所は少ないのではないだろうか。こんな学校があったら体験入学してみたい。ボタンのつけ方がうまくなりたいな。2024/05/21
hirokun
312
★4 家事とは生きていく上で、しないと生活の質が下がり、健康、社会生活に悪影響をもたらす。私たちの学生時代は、男子は技術家庭が必須で、女子とは授業内容が区別されていた時代。当然、社会風潮の中でも家事を軽視したような意識が強かったように思う。この作品の中では、単に家事の技術だけではなく、生活と仕事の棲み分け、バランスの再見直しについても問題提起をしている深い作品であると感じた。分かり易い文章と例示を使いながらこのようなテーマを内在した作品を創作する近藤史恵さんは素晴らしいと思う。2024/04/08
tetsubun1000mg
305
政治部新聞記者として、家族を後回しにして元同業者の奥さんの気持ちを考えず家出同然で離婚されてしまう。 ひとり暮らしで、コンビニ弁当のごみを出し忘れた部屋に戻って「どうしてこんなことに」思い返してみる仲上が主人公。 妹から少しぐらい長生きしてと「山の上家事学校」をすすめられる。 家事は奥さんがやるものとしか考えていなかった仲上は、家事を一から体験していくうちに気持ちが変わってくる。 学校で勉強してるうちに、コロナで元妻に助けを求められると役に立てたことに充実感も覚えてくる。 世の男性は読んだほうが良い。 2024/05/19