出版社内容情報
離婚して一年。荒んだ生活を送っていた幸彦は、ある「学校」を紹介される。そこには様々な事情を抱える生徒たちが通っていた――。
内容説明
離婚して一年。荒んだ生活を送っていた幸彦は一念発起し、山の上にある「学校」に通い始める。そこには様々な事情を抱える生徒たちが通っていた―。忙しすぎて“生活”が後回しになっている、大人たちへの応援歌!
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
1969年大阪府生まれ。1993年『凍える島』で鮎川哲也賞を受賞し、作家デビュー。2008年『サクリファイス』で大薮春彦賞を受賞、本屋大賞2位に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
178
家事を手伝うとか育児を手伝うって言葉を、違和感ありありで聞いてきた私としては近藤作家に天晴れと思う。まぁ言うほど完璧にこなしてきた私では無いのはこの際置いといて・・(汗)「愛してるから」この裏側にある犠牲と忍耐。妻だから、母だからはまた別の話だよね。男性には耳の痛い作品かも、いや、女性にだって耳は痛い箇所は有った。聞くことの大事さはこの齢になっても痛感している(笑)着地点がホッとして、この関係が続くことを願って本を閉じたが、みんな難なく学んだことを身につけたのね?ってちょっと気になった次第。2024/04/10
シナモン
110
『家事とは、やらなければ生活の質が下がったり、健康状態や社会生活に少しずつ問題が出たりするのに、賃金が発生しない仕事』男だとか女だとか関係ない。自分で自分の面倒をみる。誰かのため、じゃなくて自分のためと思うと家事に対する思いも違ってくるんじゃないのかな、と思いました。 2024/04/20
のぶ
91
読みながら大いに身につまされた一冊だった。本作の主人公は政治部所属の新聞記者、仲上幸彦。仕事にかまけて家をおろそかにし、妻と娘に出ていかれてしまった。ゴミ屋敷の中で暮らすが、妹にすすめられて家事学校へ通い、そこに通う人々のいろいろなドラマに触れながら成長していく。その家事学校で幸彦が学んだことは、料理の作り方や家事の仕方以上に、自らを変えることだった。自分も一般的な家庭を持っているが、家事は妻にまかせきりで、ほとんど何もしていない。読んで家事の大変さを感じさせられた作品だった。そんな方にはお勧め。2024/04/09
itica
90
妻や娘のために必死に働いてきたのになぜ離婚されなければならないのか。そんな憤懣も男性のための家事学校に通うようになって、自分の中の常識が崩れていく。「男は仕事で稼ぎ、女は家庭を守る」そんな一昔前の考えはさすがに通用しないだろうが、家事は女性の仕事と言う思考はDNAレベルで組み込まれているのか、中々意識が変えられないのは女性も同じだ。家事を「手伝う」のではなく「担う」ことがこれからの時代は必須なのかもね、男性方。 2024/03/26
pohcho
75
男性のための家事学校が舞台。離婚後、すさんだ生活を送っていた主人公は入学していろんな人に出会い、さまざまなことを学ぶ。家事のハウツー的な話なのかと思ったら、社会システムやジェンダーなどどんどん深い話になった。「家事とは、やらなければ生活の質が下がったり、健康状態や社会生活に少しずつ問題が出たりするのに、賃金が発生しない仕事」家事と愛情は結びついていないという話が印象的(花村校長、素敵)。家事は生活する力なんだよね。男女関係なく、こんな学校あればいいのにと思いつつ、ごはんも美味しそうでとても面白かった。2024/04/18