感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
37
高遠弘美さんの論文「事物の蔭に隠されたもの-バルベー・ドールヴィイからプルーストへ-」を読んで、この作家に興味を持った。 六つの中・短篇を収録。 ネタバレになるのでどの短篇かは明らかにできないが、作中、男と女が罪を犯すが、悪事が露見することもなく生き延び、それどころか二人が一点の曇りもない幸せを享受する様が描かれる。 この作品に最も感銘を受けた。 作家ならではの透徹した視線を感じた。/2021/05/04
ラウリスタ~
7
バルベー・ドールヴィイの傑作。『さかしま』においても絶賛されている。六つの短編からなる。前半の短編は、噂に聞くほどのこともない、意外とおとなしい作品じゃないかと思われた。しかし、特に、最後の二つばかりはものすごい。この辺りがデゼッサントの琴線を震わしたのだろう。亡き子供が別の男と子供と知り、その心臓で殴り合う父と母。夫に絞殺された愛人の心臓を、自分に食わせてくれと懇願する公爵夫人。ねじが10本か20本ばかりぶっ飛んでいる。こりゃすごい。2013/08/27