出版社内容情報
問題を起こし家裁に送られてきた少年を一定期間預かる制度ーー補導委託の引受を突然申し出た父・孝雄。南部鉄器の職人としては一目置いているが、仕事一筋で決して良い親とは言えなかった父の思いもよらない行動に戸惑う悟。納得いかぬまま迎え入れることになった少年と工房で共に働き、同じ屋根の下で暮らすうちに、悟の心にも少しずつ変化が訪れて……。家族だからこそ、届かない想いと語られない過去がある。岩手・盛岡を舞台に、揺れ動く心の機微を掬いとる、著者会心の新たな代表作!
内容説明
問題を起こし家庭裁判所に送られてきた少年を一定期間預かる制度―補導委託の引受を突然申し出た父・孝雄。南部鉄器の職人としては一目置いているが、仕事一筋で決して良い親とは言えなかった父の思いもよらない行動に戸惑う悟。納得いかぬまま迎え入れることになった少年と工房で共に働き、同じ屋根の下で暮らすうちに、悟の心にも少しずつ変化が訪れて…。
著者等紹介
柚月裕子[ユズキユウコ]
1968年岩手県出身。2008年『臨床真理』で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。18年『盤上の向日葵』で「2018年本屋大賞」2位(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
631
「補導委託」という制度があるらしい。その制度を利用して立ち直っていく少年とその家族、少年を迎え入れたもう一方の家族の物語。柚月さんというとかつてもう少し骨太な作品を読んでいたのでそっち系を期待したが、これは作者の故郷・岩手へ向けたオマージュとして読んだほうがよさげだ。読みにくくとにかく時間がかかった。最後のほうの母親のセリフ、義両親を指して「ご両親」って。編集さんも訂正してやれよ、とかツッコミながら。帯の「落涙の家族小説」、どこをどう読んだら落涙できるのか、教えてもらいたいね(笑)2024/10/29
starbro
538
柚月 裕子は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、補導委託群像劇家族小説の佳作でした。但し、著者の作品としては物足りない感じです。本書で、「補導委託」という言葉を初めて知りました。 https://www.chuko.co.jp/tanko/2024/01/005728.html2024/01/23
パトラッシュ
482
補導委託を志願した職人親子の思いと葛藤の物語だが、過去の柚月作品に比べ軽く感じたのは否めない。新聞連載小説という性格上、全登場人物が理解し合うハッピーエンドとする必要性はわかるが、本当の意味での悪や不条理や狂気が全く出てこないのだ。本来なら春斗が孝雄の妻を殺し、春斗の父はどうしようもないクズ親で、孝雄と悟が本物の悪人は誰なのか裁判を通じて懊悩するドラマに仕立てただろう。しかし、そんな暗い話は願い下げな一般読者は、気持ちのいい本を読めたと満足するに違いない。広く受け入れられる模範的な大衆小説ではあるのだが。2024/02/05
青乃108号
436
9ヶ月待って漸く読めた、期待の本だった。柚月裕子の長編、ワクワクしながら読み始めた。あれ。何か違う。軽い。まるで安いホームドラマの世界だ。あの骨太の、どっしりした柚月作品とは思えない。いやそんなはずはない、いずれどこかでさすがやっぱり柚月先生、と唸る展開が待っている、と信じて読んでいたのだが、最後まで安いホームドラマのままで終わってしまったじゃないか。この本は読み手の心に訴えるテーマが異常に弱い。作品世界が非常に狭い。400ページ超も費やして、このヘタレな作品はどうした事だ。柚月裕子も枯れてしまったのか。2025/05/22
うっちー
414
親子関係は難しいのだろう。我が家はどうだったのか?孫と毎週戯れていられるのが幸せなのかと2024/02/08