出版社内容情報
食っていけるの?そう笑ってた人たちをシャネルのバッグでいつか撲ちたい――会社員、パート、教師、保育士、精神科医……いま刮目すべき歌人36名による、心撃ち抜く労働短歌&エッセイ!
俵万智×吉澤嘉代子の対談「短歌が変える女たちの現実」も収録。
◆辞めようと思うよなんてそんなことラーメン二郎の前で言うなよ
◆業界の未来を語るおじいさんおじさんおじさんおじいさんおじ
◆軍手には引っかからないデザインを選んで買ったマリッジリング
◆食堂は嵐の前の静けさで、来た、来た、嵐「そば」「うどん」「うどん」
◆日銀を白銀と読み間違えてほのあかるいな今朝の紙面は
◆歌人一覧
浅田瑠衣/飯田有子/石川美南/稲本ゆかり/乾 遥香/井上法子/上坂あゆ美/遠藤 翠/岡本真帆/奥村知世/川島結佳子/北山あさひ/鯨井可菜子/佐伯 紺/櫻井朋子/田口綾子/竹中優子/谷じゃこ/田丸まひる/千原こはぎ/塚田千束/手塚美楽/寺井奈緒美/道券はな/戸田響子/十和田 有(ひらりさ)/西村 曜/野口あや子/橋爪志保/初谷むい/ 花山周子/平岡直子/本多真弓/水野しず/山木礼子/山崎聡子
内容説明
心撃ち抜く労働短歌&エッセイ。
目次
“働く”を考える
女が働く現場から
だいじょうぶじゃないとき
不器用なままで
働くうれしさ
未来に驚いて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
77
時々、歌集を読みます。読む度に、三十一音の制限の中でこれだけを表現することの奥深さを感じます。この歌集の中でも、漢字で書いてしまう言葉でもひらがなで表現することで得られる効果が書かれています。学生の頃授業で書いた短歌は、とかく景色など情景にこだわっていたけれど、素直に心のありようを表現することの素晴らしさを感じました。大好きな川島結佳子さんも最近知った竹中優子さんも皆さん素晴らしかった。2023/12/13
シャコタンブルー
64
36人の女性歌人が「働くこと」をテーマにした短歌が8編ずつ掲載されている。短歌の外に各自がエッセイで現在の仕事や心境が綴られているのが興味深い。やはり歌人だけで生活している人は少なく会社員、パート、派遣、医師、美術作家等、職業も様々だ。だから短歌にも独特の働くことの思惑が反映されて面白かった。その中でも十和田有さんの短歌は特に印象に残った。「キーボードに置いた手首にギロチンが落ちてきたなら自由だろうか」「白シャツでカレーうどんを食べながら悪辣に生きのびると決めた」2023/09/11
あや
43
職場詠とエッセイを集めた女性歌人のアンソロジー。個人的には正規の職に就かれている方より非正規であったり病気で仕事を休まれている方の歌やエッセイに共感した。自分では職場詠はあまり詠んでこなかったけれど仕事をモチーフにするのも悪くないと思えた。私は仕事の愚痴詠になってしまいそう。2023/12/10
shio
38
働く女たちの削られた魂から溢れる言葉たちが突き刺さるような、短歌とエッセイ。医師、教師、装丁家、料理人、司書、アルバイトなど様々な仕事に就く彼女たちの短歌は疲労、焦燥、絶望など負の感情が滲み出るものが多いけど、歌にすることでその感情を情熱に還元して、明日への活力にしているかのよう。短歌を詠むってこんな側面もあるんだ。そして、病院やTV局や社員食堂、どんな場所からでも短歌って生まれるんだ。自分とはまるで違うところにいた短歌が実はいつでも寄り添ってくれていたような、短歌がいじらしい存在に思えました。2023/10/15
ann
30
最近は自由律が流行りなのか。様々な職種の自分の立場から来る心模様を、文字通り自由にのびのびと謳いあげる「働く女」たち。かっこいい。2024/01/29