出版社内容情報
数千の男女が蠢き、夥しい金が動く。
幻の花が咲く街・吉原。
遊女たちの命を次々に奪う病の正体は!?
おゑんは、複雑な事情を抱える女たちを診ることを生業とする闇医者だ。吉原の廓・美濃屋で花魁の安芸を診察した帰り、甲三郎と名乗る謎めいた男がおゑんに声をかけてくる。美濃屋の主・久五郎と吉原の惣名主である平左衛門のもとにいざなわれたおゑんは、三日前に倒れた遊女・春駒を診て欲しいと二人に頼まれる。しかし、これまでおゑんが見たこともない症状で病み窶れている春駒は、治療も虚しく命を落としてしまう。平左衛門によると、最近、同様に亡くなった遊女は春駒で三人目だという――。
「婦人公論」人気連載、待望の書籍化。
内容説明
遊女たちの命を次々に奪う病の正体は!?―美濃屋の用心棒・甲三郎とともに、おゑんはその謎を追うが…。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年岡山県生まれ。青山学院大学文学部卒業。小学校講師を経て、91年に作家デビュー。『バッテリー』で野間児童文芸賞、『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、『バッテリー1~6』で小学館児童出版文化賞を受賞。2011年、『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
151
ふぅ。あさのさんはやっぱり巧いなぁ。そんな読後感。未知の病への震恐はつい先日まで私達が感じたこと。男たちの怨みを晴らすと言う言葉は、何処かですり替えた都合のいい言い訳だ。おゑんがそこを衝く顛末がスカッとするこのシリーズが大好きだ。𠮷原で起きた変死事件の裏には醜い男たちの闇があって、いつもに増しておゑんの活躍が光る第3弾だった。遊女に惚れられるおゑんも好い。次も楽しみにしたい。2023/04/11
あすなろ
110
やっちまったね。舌は身を斬る刀というけれど。現全て受け止め、そろりと一歩踏み出す。悔いは杭だ。ハードボイルド感が増した感ある闇医者シリーズ三巻。おえん先生は更に凄み増し、艶っぽくも魅せる。これが格別に格好良く、読者にある種の爽快感を沸かせる。この三巻が描かれる迄、執筆の間隔が空いている感あったが、四巻目は比較的間隔早く描かれている様だ。引き続き四巻目を手にし、おえん先生の世界に浸る事としたい。また、この三巻が前巻迄とへ異なり、長編である事の嬉しさ。2024/09/14
とし
108
闇医者おゑん秘録帖(残陽の廓) おゑんさん、自身も葛藤を抱えているが凜として清々しく自身を貫く姿は美しいですね。2023/07/03
初美マリン
100
さすがに一味違うスーパーヒロイン。敵にまわしたくないと一癖もある男たちに言わせる闇医者。筋を通すというのはまっすぐというだけではないという言葉に生き方が見える。2024/08/14
タイ子
92
遊女がおゑんさんに惚れた。吉原のトップに君臨する花魁に心から惚れられたおゑんさん。それはさておき今回の闇医者おゑんが立ち向かうのは得体の知れない病で急死した吉原の遊女たちの謎を解く話。倒れてから時を置かずして死亡する姿が不思議なことばかり。妓楼の惣名主の意を受けて用心棒・甲三郎とともに調べ始める。その甲三郎にも誰にも言われぬ過去があり、それが後々悲劇となって襲い掛かるのが何とも切なすぎる。遊女たちの死因と甲三郎の過去が並行していくさまがあさのワールドの面白さ。恨みが情念に変わる時人は鬼になる。2024/02/11