出版社内容情報
食品会社の社長・篠原の遺体が高速道路の非常駐車帯で見つかった。手形が不渡りになり、自殺の恐れがあると、妻からの捜索願を受理していた大阪・京橋署の上坂と磯野は、自殺とみて捜査を始める。篠原をめぐる人間関係、巨額の保険金、そして手形の行方……絡まりもつれ合う糸をほぐすような調査から見えてくる真相、その連鎖から浮かび上がる複数の事件は。
内容説明
失踪した食品会社社長の遺体が、高速道路非常帯に駐車中の車内で発見された。多額の保険金、手詰まりになった資金繰り、不渡り手形…。彼の死は自殺と推定され、捜査はすすめられるが―。大阪・京橋署暴犯係の刑事、映画オタクの「勤ちゃん」こと上坂勤と、麻雀好きの礒野次郎のコンビが、丹念な捜査と緻密な見立てで、絡んだ糸を一つ一つひもといてゆく。ほどけた糸の先に見えてきたものとは?
著者等紹介
黒川博行[クロカワヒロユキ]
1949年、愛媛県生まれ。京都市立芸術大学彫刻科卒業。高校の美術教師などを経て、83年「二度のお別れ」でサントリーミステリー大賞佳作を受賞し、翌年、同作でデビュー。86年「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞、96年『カウント・プラン』で日本推理作家協会賞、2014年『破門』で直木賞、20年日本ミステリー文学大賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
269
黒川 博行は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。大阪・京橋署暴犯係の刑事、上坂勤と麻雀好きの礒野次郎のバディ刑事小説、気楽に読めますが、もっとサプライズが欲しかった気がします。 https://www.chuko.co.jp/special/rensa/2022/12/15
いつでも母さん
167
面白かった。久しぶりの黒川さんの新作は570頁の長編で読み応えがあった。と言うよりは、一本の映画を観たような・・会話がふんだんでノベライズのような感じもする。地道な捜査の中に刑事コンビのユーモアがあって、それが活き活きとして楽しい。勤(キンちゃん)とジロさんコンビが好いのだ。行方不明に思われた一人の死から、めんどい事件に発展するのだが、あっちもこっちも絡んでたりして、とにかく最後まで読まされてしまう。続くとしんどい黒川作品だが、今回は私には当たりだった。2022/12/09
修一朗
133
毎度相棒が違うしシリーズ扱いじゃないのかもしれないけど上坂勤第3作。落英を読む前にこっち読んじゃった。映画オタク勤ちゃんが紹介する大量の映画は毎度勉強になる。勤ちゃんがしゃべるとあらあら事件がどんどん広がっていくという魔法の話術だ。こんな刑事がいたらエース間違いなし。いいもんばっかり食べてるところとほとんど車に乗りっぱなしなのねというところ以外の捜査手法はオーソドックスそのもの。徹底的に練り込まれた珠玉の会話を堪能しました。いやぁ面白かった。ホント久しぶりの一気読み。やっぱり黒川博行は絶対鉄板だ。2023/04/07
R
131
物凄い面白かったけど、中身はほぼないといっても過言ではないと思う、それが本当に凄いと感じた。淡々と、事件の裏取りを積み重ねていく、刑事の日常が描き続けられて、その軽妙なやりとりが楽しく、どんどん読んでいくと、ずんずん事件が深掘りされて、無事解決するのだが、本当にただそれだけでほぼ一本道。ただただつらく険しい刑事の仕事が愚痴ともつかぬ軽口と鋭い推理、話術で情報を引いていく姿が泥臭くてとても良い。形容しがたいけど、書いてある通りのことだけで、こんなに面白い小説になるんだと驚いた。2023/06/15
タイ子
110
久し振りの黒川作品。570頁の長編なのに全く退屈せずに読める。行方不明案件が殺人事件に、大阪・京橋署防犯係の2人の刑事が事件を猟犬のごとく追って追いまくる。追うのは2人だけではないが、主人公の刑事2人の存在が作品を飽きさせない。映画オタクの上坂は映画の話になるとしゃべる、しゃべる。これが映画好きの読み手にはたまらない。もう一人の磯野は麻雀大好き。事件を追い始めると眠らない、いや途中で寝る。事件の真相も興味あるけど、この2人の会話が面白すぎてどうでもよくなる(いや、ならんけど)。ハードカバー本で手がダルい。2023/06/22
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