出版社内容情報
曾祖父が謀反に連座したことから、馬氏は長く官位から遠ざかっていた。王莽の世になってようやく官位を得た兄たちはそれぞれ家を出て、末子の馬援は家主となるが、ひょんなことから追われる身になってしまう。北地へ逃げた馬援は牧場経営を始め、成功を収めるものの、王莽への反乱軍が各地で蜂起、新たな政権が乱立する戦国の世に、馬援も巻き込まれてゆく。光武帝・劉秀のもとで後漢統一のために力を尽くした武将・馬援の若き日々を描く。
内容説明
夜に輝く巨星馬援と天高く上る日のような劉秀。乱世のなか、互いを君臣と選びとったふたりが挑む、新王朝樹立の戦い。「草原の風」「呉漢」に続く、後漢建国の物語!
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
akky本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hiace9000
89
初めての宮城谷中国史作品、ついに手を伸ばしてみました。漢文を読み下すような硬質な文体と、広大で荒涼としながらも猥雑と混沌に満ちた後漢建国期の漢と臣、人々の熱を放つ蠢きがじんじん伝わってきて、"初読みならでは"の新鮮さ&醍醐味を堪能できました。折り折り現れる格言とも呼ぶべき人生訓、処世訓にはっと胸を突かれつつ、瞬く間に馬援その人に魅了され、一流のビジネス書としての力有を認識。人を観る炯眼、民を利する信念に基づく平等社会の実現と行動力に心酔です。後漢書の頃を描く宮城谷作品、よし!読み進めて行くことにしました。2022/12/18
巨峰
50
全然知らない人だけど面白かったな。三人の兄との関係や、作者が創造したであろう、若いころの流浪の話がすごく良かった。2025/02/24
キジネコ
42
王莽が劉邦の建国した漢から王位を簒奪する前漢末、雨後の筍の様に帝位の継承者が出没する乱世に無私の傑人が登壇します。王墓の守護という閑職を与えられた馬家の末子として生まれた馬援の生涯をえがいた小説。利他の思いを貫く男に出世昇進の我欲はなく「人は人を殺すが、馬は馬を殺すことをしない」と牧の馬や牛を眺めて過ごす事を只管愛した男を時流の渦が否応なしに捉えます。作家の伸び伸びした筆致を楽しめたのは屈託を脱した作家自身の達意か、それとも読者の抱えた懊悩が薄らいだせいか?情景や風を、息吹を感じる久々の体験を致しました。2024/04/21
星落秋風五丈原
38
新王朝後の混乱した時代劉秀に見出されながら途中で亡くなってしまう。馬超の祖。姓が馬だけあって牧畜でまず頭角を現す。2023/01/31
まえぞう
28
劉秀=光武帝、呉漢に続く後漢草創の物語第三段です。根付くがゆえに土地に縛られる農業とは異なり、牧畜は必要なら移動することができる。そんな馬援の生涯が優しい眼差しのもとで描かれています。激動期には多くの魅力ある人物が排出しますが、このような穏やかな傑物も現れるのですね。2022/12/18
-
- 電子書籍
- 最弱の魔法使い、最強前衛職に覚醒する …