出版社内容情報
生まれたばかりの娘を置いて妻はどこへ消えたのか。清末民初の革命吹き荒れる中国を舞台に、現代中国を代表する作家・余華が描いた男と女の慟哭の物語。東山彰良氏感嘆。
内容説明
20世紀初頭の清末民初、匪賊が跋扈し自然災害が襲う混迷の時代、林祥福は、兄とともに南方の町「文城」からやって来た女・小美を妻にする。束の間の幸せが訪れたが、小美は林家の金を持ち出し姿をくらましてしまう。林祥福は生後まもない娘を連れて妻を探す旅に出るが…。人災と天災、過酷な運命に翻弄され、それでも強く生きていく人々を圧倒的筆致で描く大河巨編。
著者等紹介
余華[ヨカ]
1960年、浙江省杭州市生まれ。現代中国を代表する作家。幼少期に文化大革命を経験。北京の魯迅文学院で文学創作を学んでいた89年に天安門事件に遭遇した。91年に初の長篇『雨に呼ぶ声』を発表、映画化された『活きる』や、『兄弟』などの小説で作家としての地位を確立。また、『ほんとうの中国の話をしよう』などのエッセイでは社会問題について積極的に発言している。98年にグランザネ・カプール賞(イタリア)、2004年にフランス芸術文化勲章を受章
飯塚容[イイズカユトリ]
1954年、北海道生まれ。東京都立大学大学院修了。中央大学文学部教授。専門は中国近現代文学および演劇。2011年に中華図書特殊貢献賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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冬薔薇
6
波瀾万丈、怒涛の大河ドラマ一気読みのようでドッと疲れた。やはり面白い。清朝滅亡、軍閥混戦、匪賊横行の世、大陸を南へ北へ向かう男女。娘を残して去った運命の女小美を探し旅に出る林しょう福、幻の町文城を目指す。竜巻、大雪、人攫い、人情厚き人々との出会い、悲喜交々の十数年。惨劇の合間の笑いと涙のドラマ。愛するものたちの運命のすれ違い、ラスト死後の再会は泣かせる。2023/01/17
烏骨鶏
3
中国の北方の地に住む若者の元へ、旅人が訪れる。 清の終わりから民国への変動の時期を背景に、故郷を離れ、消えた妻を捜して旅した青年が住み着いた町での半生。そして後半部、南方の農村から町へ嫁いだ少女とその半生が謎解きのように描かれる。初めてこの方の作品を読んだのだけれど、解説とは又別に、私はパール・バックの「大地」を思い出した。あ、いや、半世紀近く前の事なんで、おぼろなんですけど、つまり、前時代の生き方をもち、変容する社会に弄ばれながら生きる人々の姿、みたいなところなのかな、重なるのは。2022/11/20
takao
1
ふむ2024/11/28
耳
1
淡々とおもしろい。人の人生について書いた本がやっぱり好き。2022/11/06
gokuu
0
おおお大河ドラマみたいな話だった。清末からの動乱時代、中国の庶民の物語。虫ケラ並みに人の命が軽いんだけどその中に人間讃歌があるのが、いかにも中国の小説って感じ。最後は武侠小説みたいな風味もあって面白かった。グロいけど。2025/01/07
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